宋名臣言行録 / 前集巻七・范仲淹
公為參政與韓富二樞並命鋭意天下之事患諸路監司不才更用杜杞張昷之輩公取班簿視不才監司每見一人姓名一筆勾之以次更易富公素以丈事公謂公曰六丈則是一筆焉知一家哭矣公曰一家哭何如一路哭耶遂悉罷之
新字:公為参政与韓富二枢並命鋭意天下之事患諸路監司不才更用杜杞張昷之輩公取班簿視不才監司毎見一人姓名一筆勾之以次更易富公素以丈事公謂公曰六丈則是一筆焉知一家哭矣公曰一家哭何如一路哭耶遂悉罷之
書き下し
公、參政と為り、韓・富二樞と並び命ぜらる。天下の事に鋭意す。諸路の監司の不才なるを患い、更めて杜杞・張昷之の輩を用う。公、班簿を取りて視る。不才の監司、一人の姓名を見る毎に、一筆にして之を勾す。次を以て更め易う。富公、素より丈を以て公に事う。公に謂いて曰く、六丈、則ち是れ一筆なり。焉んぞ一家の哭を知らんやと。公曰く、一家の哭、一路の哭に何如ぞやと。遂に悉く之を罷む。
現代語訳
公は参知政事となり、韓琦・富弼の二人の枢密と並んで任命された。天下の事に鋭意取り組んだ。諸路の監察官が無能であることを憂え、あらためて杜杞・張昷之といった者を用いた。公は名簿を取って見た。無能な監察官の名を一人見るたび、一筆でそれを消した。順を追って交代させた。富弼はもともと年長者として公に仕えていた。公に言った。「六丈、それは一筆です。しかし一家の泣くのを、ご存じでしょうか」。公は言った。「一家が泣くのと、一路が泣くのと、どちらか」。そこですべてを罷免した。
解説
名簿の名前を一筆で消していく人に、傍らから声がかかった条です。六丈、それは一筆です。しかし一家の泣くのを、ご存じでしょうか。消された人には家族がいる、と。返しが有名な一句です。一家が泣くのと、一路が泣くのと、どちらか。一つの路には何十万の民がいます。数の比較に落として押し切りました。そこですべてを罷免した——どちらの言い分も残したまま、この条は終わっています。
この章句が説くこと
不才の監司一人の姓名を見る毎に一筆にして之を勾す六丈則ち是れ一筆なり焉んぞ一家の哭を知らんや一家の哭一路の哭に何如ぞや人事決断比較
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