宋名臣言行録 / 前集巻六・韓億
公在中書見諸路職司摭拾官吏小過輙不懌曰天下太平主上之心雖蟲魚草木皆欲得所況仕者大則望為公卿次亦望為侍從職司二千石其下亦望京朝幕官奈何錮之於聖世乎
新字:公在中書見諸路職司摭拾官吏小過輙不懌曰天下太平主上之心雖虫魚草木皆欲得所況仕者大則望為公卿次亦望為侍従職司二千石其下亦望京朝幕官奈何錮之於聖世乎
書き下し
公、中書に在り、諸路の職司の官吏の小過を摭拾するを見て、輙ち懌ばずして曰く、天下太平なり。主上の心、蟲魚草木と雖も皆な所を得しめんと欲す。況んや仕うる者、大は則ち公卿と為るを望み、次は亦た侍從・職司二千石を望み、其の下も亦た京朝の幕官を望む。奈何ぞ之を聖世に錮せんやと。
現代語訳
公が中書省にいて、諸路の監察官が官吏の小さな過ちを拾い集めているのを見て、そのつど不快そうに言った。「天下は太平である。主上の心は、虫や魚や草木でさえ、みなその居場所を得させようとしておられる。まして仕える者は、大きくは公卿になることを望み、次には侍従や二千石の職を望み、その下の者もやはり都の官や幕僚を望んでいる。どうしてこの聖なる世で、その道を閉ざしてしまうのか」。
解説
小さな過ちを拾い集める監察に、待ったをかけた条です。**主上の心は、虫や魚や草木でさえ、みなその居場所を得させようとしておられる。**そこから人の話へ移ります。**仕える者は、大きくは公卿を望み、下の者も都の官を望んでいる。**望みを持って働いている人の道を、小さな傷で閉ざすな、ということです。監察の目的が、罰することではなく人を使えるようにすることだ、と言い直しています。
この章句が説くこと
諸路の職司の官吏の小過を摭拾する虫魚草木と雖も皆な所を得しめんと欲す奈何ぞ之を聖世に錮せんや監察寛容道
関連する章句
-
論語・雍也篇子游、武城の宰と為る。子曰く、「女、人を得たるか。」曰く、「澹台滅明なる者有り。行くに径に由らず。公事に非ざれば、未だ嘗て偃の室に至らざるなり。」
-
論語・泰伯篇舜に臣五人有りて、天下治まる。武王曰く、「予に乱臣十人有り。」孔子曰く、「『才難し』とは、其れ然らずや。唐虞の際、斯に於いて盛んなりと為す。婦人有り、九人のみ。天下を三分して其の二を有ち、以て殷に服事す。周の徳は、其れ至徳と謂う可きのみ。」
-
『韓非子』難二第三十七桓公曰く、「吾聞く、人に君たる者は人を索むるに労し、人を使うに佚すと。吾仲父を得ること已に難し。仲父を得るの後、何為れぞ易からざらんや。」
-
尉繚子・武議良馬も策有れば、遠道致すべし。賢士も合有れば、大道明らかにすべし。
-
孫子・作戦篇其の戦を用うるや、勝つを貴ぶ。久しければ則ち兵を鈍らせ鋭を挫き、城を攻むれば則ち力屈し、久しく師を暴せば則ち国用足らず。
-
論語・衛霊公篇子曰く、君子は小知す可からずして、大受す可きなり。小人は大受す可からずして、小知す可きなり。