宋名臣言行録 / 前集巻四・楊億
公每欲作文與門人賔客博飲投壺奕棋語笑諠譁而不妨締思以小方紙細書揮翰如飛文不加㸃每盈一幅則命門人傳錄門人疲于應命頃刻之際成數千言真一代之文豪也
新字:公毎欲作文与門人賔客博飲投壺奕棋語笑諠譁而不妨締思以小方紙細書揮翰如飛文不加㸃毎盈一幅則命門人伝録門人疲于応命頃刻之際成数千言真一代之文豪也
書き下し
公、文を作らんと欲する毎に、門人・賔客と博飲・投壺・奕棋し、語笑諠譁す。而して締思を妨げず。小方紙を以て細書し、翰を揮うこと飛ぶが如し。文、㸃を加えず。一幅に盈つる毎に、則ち門人に命じて傳錄せしむ。門人、命に應ずるに疲る。頃刻の際、數千言を成す。真に一代の文豪なり。
現代語訳
公は文章を作ろうとするたび、門人や客と博打を打ち、投壺をし、碁を打ち、語り笑ってやかましくしていた。それでも構想を練るのを妨げなかった。小さな四角い紙に細かく書きつけ、筆を振るうことが飛ぶようであった。文は一字も直さなかった。一枚がいっぱいになるたび、門人に命じて写させた。門人は命じられるのに追いつけず疲れた。わずかのあいだに数千言を書き上げた。まことに一代の文豪であった。
解説
書き方をそのまま記録した条です。**博打を打ち、投壺をし、碁を打ち、語り笑ってやかましくしながら、小さな紙に細かく書きつける。筆を振るうことが飛ぶようで、一字も直さない。**静かにしないと書けない、という前提を持っていません。門人が写すのに追いつけなかった、という一行が速さを物語っています。集中の形は人によって違う、という実例です。
この章句が説くこと
門人賔客と博飲投壺奕棋し語笑諠譁す而して締思を妨げず小方紙を以て細書し翰を揮うこと飛ぶが如し文㸃を加えず頃刻の際数千言を成す執筆集中速さ
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