宋名臣言行録 / 前集巻四・冦凖
公南行至雷陽吏以圖獻閲視之首載郡東南門抵海岸凡十里凖恍然悟曰吾少時有到海秖十里過山應萬重之句迺今日意爾人生得䘮豈偶然耶
新字:公南行至雷陽吏以図献閲視之首載郡東南門抵海岸凡十里凖恍然悟曰吾少時有到海秖十里過山応万重之句迺今日意爾人生得喪豈偶然耶
書き下し
公、南行して雷陽に至る。吏、圖を以て獻ず。之を閲視するに、首に郡の東南門より海岸に抵ること凡そ十里なるを載す。凖恍然として悟りて曰く、吾れ少き時、海に到ること秖だ十里、山を過ぐること應に萬重なるべしの句有り。迺ち今日の意なるのみ。人生の得䘮、豈に偶然ならんやと。
現代語訳
公は南へ下って雷陽に着いた。役人が地図を献じた。それを見ると、はじめに郡の東南の門から海岸まで、およそ十里と記してあった。寇準ははっと悟って言った。「私は若いころ、『海に到るのはわずか十里、山を越えるのは万重にもなるだろう』という句を作った。それが今日のことだったのだ。人の一生の得失は、どうして偶然だろうか」。
解説
流された最果ての地で、地図を見て若い日の自分の詩句に行き当たった条です。**海に到るのはわずか十里、山を越えるのは万重にもなるだろう。**そのとおりの土地に、いま立っている。**人の一生の得失は、どうして偶然だろうか。**恨みでも嘆きでもなく、そう受け取りました。巴東県で作った「野の水に人の渡る者はない」の句が澶淵につながったのと、対になる一条です。
この章句が説くこと
海に到ること秖だ十里山を過ぐること応に万重なるべし迺ち今日の意なるのみ人生の得喪豈に偶然ならんや運命詩句受容
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