宋名臣言行録 / 前集巻四・冦凖
張忠定守蜀聞公大拜曰冦凖真宰相也又曰蒼生無福門人李畋怪而問之曰人千言而不盡者凖一言而盡然仕太早用太速不及學耳張冦布衣交也公兄事之忠定常面折不少恕雖貴不改也公在岐忠定自蜀還不留既别顧公曰曽讀霍光傳否曰未也更無他語公歸取其傳讀之至不學無術笑曰此張公謂我矣
新字:張忠定守蜀聞公大拝曰寇凖真宰相也又曰蒼生無福門人李畋怪而問之曰人千言而不尽者凖一言而尽然仕太早用太速不及学耳張寇布衣交也公兄事之忠定常面折不少恕雖貴不改也公在岐忠定自蜀還不留既別顧公曰曽読霍光伝否曰未也更無他語公帰取其伝読之至不学無術笑曰此張公謂我矣
書き下し
張忠定、蜀を守る。公の大拜を聞きて曰く、冦凖は真の宰相なりと。又た曰く、蒼生に福無しと。門人李畋、怪しみて之を問う。曰く、人の千言して盡くさざる者を、凖は一言にして盡くす。然れども仕うること太だ早く、用いらるること太だ速やかにして、學に及ばざるのみと。張・冦は布衣の交わりなり。公、之に兄事す。忠定、常に面折して少しも恕さず。貴しと雖も改めざるなり。公、岐に在り。忠定、蜀より還る。留まらず。既に别るるに、公を顧みて曰く、曽て霍光傳を讀むや否やと。曰く、未だしと。更に他語無し。公歸りて其の傳を取りて之を讀む。不學無術に至りて笑いて曰く、此れ張公、我を謂うなりと。
現代語訳
張詠が蜀を守っていた。公が宰相に任じられたと聞いて言った。「寇準はまことの宰相だ」。また言った。「民には福が無い」。門人の李畋が不審に思って尋ねた。張詠は言った。「人が千言費やしても言い尽くせないことを、寇準は一言で言い尽くす。しかし仕えたのが早すぎ、用いられたのが速すぎて、学問が足りないのだ」。張詠と寇準は布衣のころからの交わりであった。公は張詠を兄として遇した。張詠はいつも面と向かって指摘して、少しも容赦しなかった。貴い身になっても改めなかった。公が岐にいた。張詠が蜀から帰ってきた。留まらなかった。別れぎわ、公を振り返って言った。「『霍光伝』を読んだことがあるか」。「まだです」と答えた。それ以上は何も言わなかった。公は帰ってその伝を取って読んだ。「学ばずして術無し」というところまで来て、笑って言った。「これは張公が私を言ったのだ」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『大和俗訓』巻之二・為学下一学問の道は、心をむなしくし、へりくだり、よく知れる事をも知らざるが如くにし、能く行ふ事をも行はざるが如くにし、我が才と行とにほこらず、わが智を先だてずして、人に問ひ、人のいさめを聞用ひ、我が過を改めて、善にうつるべし。かくの如くすれば、学問の益あり。善にすすむ事きはまりなし。もし自らほこり、我を是とし、人を非とし、人の諫を拒ぎ、我が過をきく事をきらはば、才学の長ずるにしたがひて、その心あしくなりて、学問の益なきのみにあらず、かへりて害となるべし。是己が為にせずして、人のためにする故、君子儒とならずして、小人儒となるなり。かくの如くならんは、学ばざるにおとれり。
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『斉家論』上然れども推し出だし儒者とはいはれまじ。又世間に沙汰なき人にも出会うて見れば、経書はいふに及ばず、詩作文章達者なる能き学者あり。又儒者ならねども、少し心がけある人には、汝ぐらゐの学者は町並にも有るべし。其の中にて無縁の講釈すると、口広き事はいはれまじ。夫をもかまはず書付を出だされなば、聴く者もあるべけれど、一度聞きては、素読同前の講釈なりといひ、又口の悪しき者は、あの学問にて講釈するは、笑ふにたらずと譏るべし。たとひ十日廿日入れかはり聴衆ありとも、つづくまじ。其の時に至り、しまはんよりは、今七八年も学問し出でられなば、本望もとげ、恥を受くることも少なからんといはれし人も、過ぎ去りむかしがたりになりぬ。或人のいへるごとく、
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『大和俗訓』巻之二・為学下学者必ここに常に心を用ふべし。およそ人のあやまり悪しき事は、皆その生れつきの偏なる癖よりおこる。ここを以て、学者は必気質を変化して、過を改むべし。是学問の要なり。我が気質の偏悪と、我が過をみづから知る人まれなり。かへりみて察し知るべし。正直にして、過をつぐる益友を求め、忠臣を近づけて諫を聞用ふべし。碁をうつ人は手見えず、傍より見る人は眼よく見ゆるが如し。
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論語・顔淵篇子貢、友を問う。子曰く、「忠告して善く之を道き、不可なれば則ち止む。自ら辱めらるること毋かれ。」
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『呻吟語』内篇・應務・忠告して善く之を道く今子弟の父兄の責を受くるや、尚ほ堪へざる所有り。而るに況んや他人をや。孔子曰く、「忠告して善く之を道き、不可なれば則ち止む」と。此の語は交はりを全うするに止まらず、亦た以て氣を養ふ可し。
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言志四録・言志録 第百五十一条 善を責むるは朋友の道善を責むるは、朋友の道なり。只須らく懇到切至にして以て之に告ぐべし。然らずして、徒らに口舌を資りて以て善を責むるの名を博せば、渠は以て徳と為さず、却つて以て仇と為す。益無きなり。

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