宋名臣言行録 / 前集巻三・馬知節
真宗末王欽若每奏事或懐數奏出其一二餘皆匿之既退以已意稱聖㫖行之嘗與知節俱奏事上前欽若將退知節目之曰懐中奏何不盡出之
新字:真宗末王欽若毎奏事或懐数奏出其一二余皆匿之既退以已意称聖旨行之嘗与知節倶奏事上前欽若将退知節目之曰懐中奏何不尽出之
書き下し
真宗の末、王欽若、事を奏する毎に、或いは數奏を懐にして其の一二を出だし、餘は皆な之を匿す。既に退けば、已の意を以て聖㫖と稱して之を行う。嘗て知節と俱に事を上前に奏す。欽若將に退かんとす。知節之を目して曰く、懐中の奏、何ぞ盡く之を出ださざるやと。
現代語訳
真宗の晩年、王欽若は奏上のたび、いくつもの上奏文を懐に入れておきながら、その一つ二つだけを出して、残りはみな隠した。退出してからは、自分の考えを上意だと称して実行した。あるとき馬知節とともに帝の前で奏上した。王欽若が退出しようとした。馬知節はその者を見据えて言った。「懐の中の上奏文を、どうして全部出さないのか」。
解説
五十七字の、その場での一撃です。王欽若は上奏文を懐に隠し持ち、都合のよいものだけ出して、残りは自分の判断で「上意」として実行していました。退出しようとしたところで、懐の中の上奏文を、どうして全部出さないのか。帝の前で、隠していることを名指ししています。証拠を出したのではなく、隠している事実そのものを見えるようにしただけです。
この章句が説くこと
懐中の奏何ぞ尽く之を出ださざるや或いは数奏を懐にして其の一二を出だし余は皆な之を匿す已の意を以て聖旨と称して之を行う隠蔽直言決裁
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