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宋名臣言行録 / 前集巻三・張詠

范延貴為殿直押兵過金陵公為守因問曰天使沿路來還曽見好官員否延貴曰昨過袁州萍鄉縣邑宰張希顔者雖不識之知其好官員也公曰何以言之延貴曰自入縣境驛傳橋道皆完葺田莱墾闢野無惰農及至縣則㕓肆無賭博市易不敢諠爭夜宿邸中聞更鼓分明以是知其必善政也公大笑曰希顔固善矣天使亦好官員也即日同薦于朝希顔後為發運使延貴亦為閤門祗□皆號能吏也

新字:范延貴為殿直押兵過金陵公為守因問曰天使沿路来還曽見好官員否延貴曰昨過袁州萍鄉県邑宰張希顔者雖不識之知其好官員也公曰何以言之延貴曰自入県境駅伝橋道皆完葺田莱墾闢野無惰農及至県則㕓肆無賭博市易不敢諠争夜宿邸中聞更鼓分明以是知其必善政也公大笑曰希顔固善矣天使亦好官員也即日同薦于朝希顔後為発運使延貴亦為閤門祗□皆号能吏也

書き下し

范延貴、殿直と為り兵を押して金陵を過ぐ。公守と為る。因りて問いて曰く、天使、路に沿いて來るに、還た曽て好き官員を見しやと。延貴曰く、昨、袁州萍鄉縣を過ぐ。邑宰張希顔なる者、之を識らずと雖も、其の好き官員なるを知るなりと。公曰く、何を以て之を言うと。延貴曰く、縣境に入りしより、驛傳・橋道皆な完葺し、田莱墾闢して野に惰農無し。縣に至るに及べば則ち㕓肆に賭博無く、市易に諠爭を敢えてせず。夜、邸中に宿すれば更鼓の分明なるを聞く。是を以て其の必ず善政なるを知ると。公大いに笑いて曰く、希顔は固より善し。天使も亦た好き官員なりと。即日、同に朝に薦む。希顔は後に發運使と為り、延貴も亦た閤門祗□と為る。皆な能吏と號す。

現代語訳

范延貴が殿直として兵を引率して金陵を通った。公が長官であった。そこで尋ねた。「使者どの、道すがら来られて、よい官人を見かけられたか」。范延貴は言った。「昨日、袁州の萍郷県を通りました。県令の張希顔という者は、面識はありませんが、よい官人だと分かります」。公は「どうしてそう言えるのか」と言った。范延貴は言った。「県の境に入ってから、駅の宿場も橋も道もみな修繕されており、田畑は開かれていて、野に怠けている農夫がいませんでした。県庁に着いてみれば、店に賭博がなく、市の売り買いで言い争う者もいない。夜、宿に泊まると、時を告げる太鼓がはっきり聞こえました。これによって、必ずよい政が行われていると分かります」。公は大いに笑って言った。「張希顔はもとより立派だ。使者どのもまたよい官人だ」。その日のうちに二人そろって朝廷に推薦した。張希顔は後に発運使となり、范延貴も閤門祗□となった。どちらも有能な官吏と称された。

解説

よい官人を見かけたか、という問いへの答えが具体的だった条です。**道と橋が直っている、野に怠けている農夫がいない、店に賭博がない、市で言い争いがない、夜の太鼓がはっきり聞こえる。**面識のない相手を、通りすがりの五つの手がかりで判定しています。張詠が笑ったのはそこでした。張希顔は立派だ、使者どのもまたよい官人だ、と。見た人の目のほうも同時に測って、二人とも推薦しています。原文の□は四庫全書本の欠字です。

この章句が説くこと

駅伝橋道皆な完葺し田莱墾闢して野に惰農無し夜邸中に宿すれば更鼓の分明なるを聞く希顔は固より善し天使も亦た好き官員なり観察評価推挙

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