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宋名臣言行録 / 前集巻三・張詠

李順黨中有殺耕牛避罪逃亡者公許其首身拘母十日不出釋之復拘其妻一宿而來公斷云禁母十夜留妻一宵倚門之望何疎結髪之情何厚舊為惡黨今又逃亡許令首身猶尚顧望就市斬之于是首身者繼至並遣歸業民悉安居

新字:李順党中有殺耕牛避罪逃亡者公許其首身拘母十日不出釈之復拘其妻一宿而来公断云禁母十夜留妻一宵倚門之望何疎結髪之情何厚旧為悪党今又逃亡許令首身猶尚顧望就市斬之于是首身者継至並遣帰業民悉安居

書き下し

李順の黨中に耕牛を殺して罪を避けて逃亡する者有り。公、其の首身を許す。母を拘うること十日、出でず。之を釋つ。復た其の妻を拘うるに、一宿にして來る。公斷じて云う、母を禁ずること十夜、妻を留むること一宵。倚門の望、何ぞ疎なる。結髪の情、何ぞ厚き。舊は惡黨為り、今又た逃亡す。首身せしめんことを許すも、猶お尚お顧望す。市に就きて之を斬ると。是に於て首身する者繼ぎて至る。並びに遣りて業に歸らしむ。民悉く安居す。

現代語訳

李順の一味の中に、耕作用の牛を殺して罪を逃れるために逃亡した者があった。公はその者に自首を許した。母を捕らえて十日置いたが、出てこなかった。母を釈放した。あらためてその妻を捕らえると、一晩で出てきた。公は判決を下して言った。「母を留めること十夜、妻を留めること一晩。門に寄りかかって待つ母への思いは、なんと薄いことか。髪を結い合った妻への情は、なんと厚いことか。もとは悪党の一味であり、いままた逃亡した。自首を許してやったのに、なお様子をうかがっていた。市場に引き出してこれを斬る」。そこで自首する者が次々に来た。みな帰らせて生業に戻らせた。民はすっかり落ち着いて暮らした。

解説

母を人質に十日出てこず、妻を人質にすると一晩で出てきた男を斬った条です。判決文が対句になっています。**門に寄りかかって待つ母への思いは、なんと薄いことか。髪を結い合った妻への情は、なんと厚いことか。**罪状は逃亡ですが、量刑の理由は出てきた順番に置かれました。この判決を出したあと、自首する者が次々に来て、みな生業に戻されています。

この章句が説くこと

母を禁ずること十夜妻を留むること一宵倚門の望何ぞ疎なる結髪の情何ぞ厚き是に於て首身する者継ぎて至る判決優先人柄

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