宋名臣言行録 / 前集巻三・張詠
初知益州斬一猾吏前後郡守所倚任者吏稱無罪公封判令至市曹讀示之既聞斷辭告市人曰爾輩得好知府矣葢李順嘗有死罪此吏縱之也
新字:初知益州斬一猾吏前後郡守所倚任者吏称無罪公封判令至市曹読示之既聞断辞告市人曰爾輩得好知府矣葢李順嘗有死罪此吏縦之也
書き下し
初め益州を知る。一猾吏を斬る。前後の郡守の倚任する所の者なり。吏、罪無しと稱す。公、判を封じて市曹に至らしめ、之を讀み示す。既に斷辭を聞き、市人に告げて曰く、爾輩、好き知府を得たりと。葢し李順嘗て死罪有り。此の吏之を縱てばなり。
現代語訳
はじめて益州の長官となったとき、一人のずる賢い役人を斬った。前後の長官たちが頼りにしていた者である。その役人は自分に罪はないと言い張った。公は判決文を封じて市場の広場へ持って行かせ、読み聞かせた。判決の文言を聞き終えると、市の人々に告げて言った。「おまえたち、よい知府を得たな」。じつは李順にかつて死罪があった。この役人がそれを見逃していたのである。
解説
罪はないと言い張る役人を、市場で判決文を読ませて処断した条です。**判決文を封じて広場へ持って行かせ、読み聞かせる。**そのうえで市の人々に「よい知府を得たな」と告げました。処分そのものより、なぜ処分するのかを人前で示すことに手間をかけています。理由は最後に明かされます。李順の死罪を見逃したのがこの役人でした。乱の火元が誰だったかを、そこで公にしたことになります。
この章句が説くこと
公判を封じて市曹に至らしめ之を読み示す爾輩好き知府を得たり李順嘗て死罪有り此の吏之を縦てばなり処断公開理由
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