宋名臣言行録 / 前集巻二・王旦
公在中書㓂公在宻院中書偶倒用了印㓂公須勾吏人行遣他日樞院亦倒用了印中書吏人呈覆亦欲行遣公問吏人汝等且道宻院當初行遣倒用印者是否曰不是公曰既是不是不可學他不是
新字:公在中書㓂公在密院中書偶倒用了印㓂公須勾吏人行遣他日枢院亦倒用了印中書吏人呈覆亦欲行遣公問吏人汝等且道密院当初行遣倒用印者是否曰不是公曰既是不是不可学他不是
書き下し
公中書に在り、㓂公宻院に在り。中書偶ま倒しまに印を用い了る。㓂公須く吏人を勾して行遣す。他日、樞院も亦た倒しまに印を用い了る。中書の吏人呈覆し、亦た行遣せんと欲す。公、吏人に問う、汝等且く道え、宻院當初倒しまに印を用うるを行遣せしは是なるや否やと。曰く、是ならずと。公曰く、既に是ならざれば、他の是ならざるを學ぶ可からずと。
現代語訳
公が中書省にいて、寇準が枢密院にいた。中書がたまたま印を逆さまに押してしまった。寇準はすぐに役人を呼び出して処分した。後日、枢密院もまた印を逆さまに押した。中書の役人が報告し、同じように処分しようとした。公は役人に尋ねた。「おまえたち、まず言ってみよ。枢密院があのとき逆さま印を処分したのは、正しかったか、正しくなかったか」。「正しくありませんでした」と言った。公は言った。「正しくないのなら、その正しくないやり方を真似てはいけない」。
解説
前の条と同じ相手、同じ構図を、別の書から採った条です。こちらは理屈の立て方が一段はっきりしています。あのやり方は正しかったか、と部下に先に答えさせた。正しくなかった、と自分の口から言わせてから、では真似てはいけない、と締める。仕返しを禁じたのではありません。基準のほうを確かめ直しています。相手が間違えたときこそ、自分の基準が試される、という条です。
この章句が説くこと
密院当初倒しまに印を用うるを行遣せしは是なるや否や宻院当初倒しまに印を用うるを行遣せしは是なるや否や既に是ならざれば他の是ならざるを学ぶ可からず中書偶ま倒しまに印を用い了る報復基準
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