宋名臣言行録 / 前集巻二・王旦
大中祥符中天下大蝗真宗使人于野得死蝗以示大臣明日他宰相有袖死蝗以進者曰蝗實死矣請示於朝率百官賀公獨以為不可後數日方奏事飛蝗蔽天上顧公曰使百官方賀而蝗如此豈不為天下笑邪
新字:大中祥符中天下大蝗真宗使人于野得死蝗以示大臣明日他宰相有袖死蝗以進者曰蝗実死矣請示於朝率百官賀公独以為不可後数日方奏事飛蝗蔽天上顧公曰使百官方賀而蝗如此豈不為天下笑邪
書き下し
大中祥符中、天下大いに蝗す。真宗人をして野に于いて死蝗を得て以て大臣に示さしむ。明日、他の宰相に死蝗を袖にして以て進むる者有りて曰く、蝗實に死せり。請う、朝に示し、百官を率いて賀せんと。公獨り以て不可と為す。後數日、方に事を奏するに、飛蝗天を蔽う。上、公を顧みて曰く、百官をして方に賀せしめて蝗此くの如くんば、豈に天下の笑いと為らざらんやと。
現代語訳
大中祥符年間、天下に大いに蝗の害があった。真宗は人をやって野で死んだ蝗を拾わせ、大臣に示させた。翌日、他の宰相の中に死んだ蝗を袖に入れて差し出す者があって言った。「蝗はまことに死にました。どうか朝廷に示し、百官を率いてお祝い申し上げたい」。公だけが不可とした。数日後、ちょうど奏上しているとき、飛ぶ蝗が空を覆った。帝は公を顧みて言った。「百官に祝わせておいて蝗がこのようであったら、天下の笑いものにならなかっただろうか」。
解説
死んだ蝗を袖に入れて持ってきて、祝賀の式典をしましょうと言い出した宰相がいた条です。王旦だけが不可としました。数日後、空を覆うほどの蝗が飛びます。帝の言葉が結論でした。祝わせておいてこれでは、天下の笑いものだった、と。良い兆しを一つ拾って全体が終わったことにする、という誘惑がどれほど強いか。祝賀を止めるほうが、はるかに勇気の要る側になっています。
この章句が説くこと
蝗実に死せり請う朝に示し百官を率いて賀せんと公独り以て不可と為す百官をして方に賀せしめて蝗此くの如くんば豈に天下の笑いと為らざらんや慶事早合点報告
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