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宋名臣言行録 / 前集巻一・竇儀

太祖欲改元謂宰相曰今改年號須古來未有者時宰相以乾徳為請且言前代所無三年正月平蜀蜀宮人有入掖庭者上因閲其奩具得鑑背字云乾徳四年鑄大驚曰安得四年所鑄乎出鑑以示宰相皆不能對乃召學士陶榖竇儀奏曰蜀少主曽有此號鑑必蜀中所鑄上大喜因嘆曰作宰相須是讀書人自是大重儒臣矣

新字:太祖欲改元謂宰相曰今改年号須古来未有者時宰相以乾徳為請且言前代所無三年正月平蜀蜀宮人有入掖庭者上因閲其奩具得鑑背字云乾徳四年鋳大驚曰安得四年所鋳乎出鑑以示宰相皆不能対乃召学士陶榖竇儀奏曰蜀少主曽有此号鑑必蜀中所鋳上大喜因嘆曰作宰相須是読書人自是大重儒臣矣

書き下し

太祖元を改めんと欲し、宰相に謂いて曰く、今、年號を改むるは、須らく古來未だ有らざる者なるべしと。時の宰相、乾徳を以て請を為す。且つ前代に無き所と言う。三年正月、蜀を平らぐ。蜀の宮人に掖庭に入る者有り。上、因りて其の奩具を閲し、鑑の背の字を得たり。云う、乾徳四年鑄ると。大いに驚きて曰く、安んぞ四年鑄る所を得んやと。鑑を出だして以て宰相に示す。皆な對うる能わず。乃ち學士陶穀・竇儀を召す。奏して曰く、蜀の少主曽て此の號有り。鑑は必ず蜀中の鑄る所ならんと。上大いに喜ぶ。因りて嘆じて曰く、宰相は須らく是れ讀書人なるべしと。是れより大いに儒臣を重んず。

現代語訳

太祖が年号を改めようとして、宰相に言った。「いま年号を改めるなら、古来まだ無かったものにしたい」。当時の宰相は「乾徳」を挙げて願い出た。そのうえ、前代には無いものだと言った。乾徳三年正月、蜀が平定された。蜀の宮女で後宮に入った者があった。太祖はその化粧道具を見ていて、鏡の裏の字を見つけた。「乾徳四年鋳造」とある。ひどく驚いて言った。「どうして四年に鋳造したものがあるのか」。鏡を出して宰相に示した。みな答えられなかった。そこで学士の陶穀と竇儀を召した。二人は奏上した。「蜀の先代の主君がかつてこの年号を用いております。この鏡はきっと蜀で鋳造されたものでしょう」。太祖は大いに喜んだ。そして嘆じて言った。「宰相はやはり読書人でなければならない」。これ以後、大いに儒臣を重んじるようになった。

解説

「古来まだ無い年号を」と注文して選んだ「乾徳」が、じつは蜀で使われていた、と鏡の裏の刻字で露見した条です。宰相たちは誰も答えられず、学士二人が即座に出典を言い当てました。太祖の一言がこの書の中でも有名です。**宰相はやはり、読書人でなければならない。**趙普に読書を勧めたのも同じ人でした。武で天下を取った君主が、知識の欠けが実務でどう出るかを見た瞬間として置かれています。

この章句が説くこと

宰相は須らく是れ読書人なるべし鑑の背の字を得たり云う乾徳四年鋳ると蜀の少主曽て此の号有り知識確認前例

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