宋名臣言行録 / 前集巻一・范質
質奉行制敕未嘗破律每命刺史縣令必以戸口版籍為急
新字:質奉行制勅未嘗破律毎命刺史県令必以戸口版籍為急
書き下し
質、制敕を奉行して未だ嘗て律を破らず。刺史・縣令を命ずる毎に、必ず戸口版籍を以て急と為す。
現代語訳
范質は詔勅を実行するにあたって、法律を破ったことがなかった。刺史や県令を任命するたびに、必ず戸口の台帳を第一の急務とした。
解説
二十三字の条です。**詔勅を実行するときにも法律を破らなかった。**上からの命令と法とがぶつかったとき、法のほうを立てたということです。そして地方官を任じるたびに真っ先に言い渡したのが、戸口の台帳でした。誰がどこに何人住んでいるかを押さえることが、租税も徴発も裁きも、すべての土台になる。派手な政策ではなく台帳を急務と呼ぶところに、この人の型が出ています。
この章句が説くこと
制勅を奉行して未だ嘗て律を破らず刺史県令を命ずる毎に必ず戸口版籍を以て急と為す法基礎実務任命
関連する章句
-
『塩鉄論』大論篇大夫曰く、槁簡に呻吟し、死人の語を誦するは、則ち有司は文學を以てせず。文學は獄の廷後に在るを知りて其の事を知らず、其の事を聞きて其の務めを知らず。夫れ民を治むる者は、大匠の斲るがごとし。斧斤もて之を行い、繩に中れば則ち止む。杜大夫・王中尉の等、之を繩するに法を以てし、之を斷ずるに刑を以てす。然る後に寇止み奸禁ぜらる。故に射る者は槷に因り、治むる者は法に因る。虞・夏は文を以てし、殷・周は武を以てす。時を異にして各々施す所有り。今、敦樸の時を以て、抏弊の民を治めんと欲するは、是れ猶お遷延して溺るるを拯い、揖讓して火を救うがごときなり。
-
呂氏春秋・處方⑤今、人此に有り、擅に行いを矯めば則ち國家を免れしめ、輕重を利すれば則ち衡石の如く、方圜を為せば則ち規矩の若くす。此れ則ち工なり巧なり。而れども法るに足らず。法なる者は、衆の同じくする所なり。賢不肖の其の力を以うる所なり。謀の用う可からざるに出で、事同じくす可からざるに出づるは、此れ先王の舍つる所なり。
-
孫子・形篇善く兵を用うる者は、道を修めて法を保つ。故に能く勝敗の政を為す。
-
論語・八佾篇子夏問いて曰く、「巧笑倩たり、美目盼たり、素以て絢を為すとは、何の謂ぞや」と。子曰く、「絵事は素より後にす」と。曰く、「礼は後か」と。子曰く、「予を起こす者は商なり。始めて与に詩を言うべきのみ」と。
-
孫子・始計篇法とは、曲制・官道・主用なり。
-
『宋名臣言行録』前集巻八・龎籍公常に曰く、凡そ大臣と為らば、尤も宜しく繩墨を祗畏すべし。豈に貴重を自恃して天子の法を亂すを得んやと。