宋名臣言行録 / 前集巻一・曹彬
彬討蜀初克成都有獲婦女者彬悉閉于一第竅以度食且戒左右曰是將御當宻衛之洎事罷咸訪其親以還之無者備禮以嫁之及師還輜重甚多或譛言悉竒貨也太祖宻令伺之圖書也無銖金寸錦之附焉
新字:彬討蜀初克成都有獲婦女者彬悉閉于一第竅以度食且戒左右曰是将御当宻衛之洎事罷咸訪其親以還之無者備礼以嫁之及師還輜重甚多或譛言悉奇貨也太祖宻令伺之図書也無銖金寸錦之附焉
書き下し
彬蜀を討ち、初め成都に克つ。婦女を獲る者有り。彬悉く一第に閉じ、竅ちて以て食を度す。且つ左右を戒めて曰く、是れ將に御せんとす、當に宻かに之を衛るべしと。事罷むに洎び、咸な其の親を訪ねて以て之を還す。無き者は禮を備えて以て之を嫁す。師還るに及び、輜重甚だ多し。或ひと譛言す、悉く竒貨なりと。太祖宻かに之を伺わしむ。圖書なり。銖金寸錦の附する無し。
現代語訳
曹彬が蜀を討ち、成都を落としたはじめ、女性を捕らえた者があった。曹彬は彼女たちをすべて一つの屋敷に入れ、穴を開けてそこから食事を渡した。そして左右の者を戒めて言った。「これはやがてもとの暮らしに戻る人たちだ。ひそかに守ってやらねばならない」。戦が終わると、みなその身内を訪ねて返した。身寄りの無い者には礼を整えて嫁がせた。軍が帰るとき、荷物がたいへん多かった。ある者が、みな珍しい財宝だと讒言した。太祖はひそかに調べさせた。書物であった。ごくわずかの金も絹も付いていなかった。
解説
落城後に捕らえられた女性たちを、一つの屋敷に入れて穴から食事を渡した条です。**閉じ込めたのは隔離ではなく保護でした。**戦が終わると身内を訪ねて返し、身寄りの無い者には支度を整えて嫁がせています。後半は荷物の話です。多い荷を財宝だと讒言されて調べさせたら、中身は書物だけだった。前の条で王仁贍が言った「清く慎み深いのは曹彬一人」が、二重に裏づけられた形になっています。
この章句が説くこと
是れ将に御せんとす当に宻かに之を衛るべし事罷むに洎び咸な其の親を訪ねて以て之を還す図書なり銖金寸錦の附する無し保護規律清廉
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