宋名臣言行録 / 前集巻一・趙普
始為相太祖命薛居正呂餘慶參知政事以副之不知印不奏事不押班但奉行制書而已事無大小一決於王開寳中盧多遜因對屢攻其短雷有鄰復奏其庇吏受賕上怒下御史府案問抵吏罪詔參知政事更知印押班奏事以分其權
新字:始為相太祖命薛居正呂余慶参知政事以副之不知印不奏事不押班但奉行制書而已事無大小一決於王開宝中盧多遜因対屡攻其短雷有鄰復奏其庇吏受賕上怒下御史府案問抵吏罪詔参知政事更知印押班奏事以分其権
書き下し
始めて相と為るや、太祖、薛居正・呂餘慶に命じて參知政事とし、以て之に副えしむ。印を知らず、事を奏せず、班を押さず、但だ制書を奉行するのみ。事に大小と無く、一に王に決す。開寳中、盧多遜對に因りて屢々其の短を攻む。雷有鄰復た其の吏を庇いて賕を受くるを奏す。上怒りて御史府に下して案問し、吏を罪に抵つ。詔して參知政事をして更めて印を知り班を押し事を奏せしめ、以て其の權を分かつ。
現代語訳
はじめて宰相となったとき、太祖は薛居正と呂余慶に命じて参知政事とし、その補佐に当てた。だが彼らは印を預からず、奏上もせず、朝班の先頭にも立たず、ただ詔書を実行するだけだった。事の大小にかかわらず、すべて韓王(趙普)が決めた。開宝年間、盧多遜が奏対のたびにその短所を突いた。雷有鄰がさらに、趙普が下役を庇って賄賂を受けていると奏した。太祖は怒って御史府に下して取り調べさせ、その下役を罪に問うた。そして詔を下し、参知政事にもあらためて印を預からせ、朝班に立たせ、奏上させて、その権を分けた。
解説
一人に権が集まりきったときに何が起きるかを、そのまま記した条です。副えられた二人は印も持たず奏上もせず、事の大小にかかわらずすべて趙普が決めた。そこへ二方向から攻撃が来ます。奏対のたびの短所指摘と、下役の収賄の告発。太祖は取り調べたうえで、罰ではなく制度で応えました。参知政事に印と奏上の権を戻して、権を分けたのです。人ではなく配分を直した処理です。
この章句が説くこと
事に大小と無く一に王に決す詔して参知政事をして更めて印を知り班を押し事を奏せしめ以て其の権を分かつ印を知らず事を奏せず班を押さず権限集中分掌
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