宋名臣言行録 / 前集巻一・趙普
太祖寵待韓王如左右手御史中丞雷徳驤劾奏普強市人第宅聚歛財賄上怒叱之曰鼎鐺尚有耳汝不聞趙普吾之社稷臣乎命左右曳于庭數匝徐使復冠召升殿曰今後不宜爾且赦汝勿令外人知也
新字:太祖寵待韓王如左右手御史中丞雷徳驤劾奏普強市人第宅聚歛財賄上怒叱之曰鼎鐺尚有耳汝不聞趙普吾之社稷臣乎命左右曳于庭数匝徐使復冠召升殿曰今後不宜爾且赦汝勿令外人知也
書き下し
太祖の韓王を寵待すること左右の手の如し。御史中丞雷徳驤、普が強いて人の第宅を市い、財賄を聚歛するを劾奏す。上怒りて之を叱して曰く、鼎鐺すら尚お耳有り。汝、趙普は吾が社稷の臣なるを聞かざるかと。左右に命じて庭に曳くこと數匝、徐ろに冠を復さしめ、召して殿に升らしめて曰く、今後爾る宜しからず。且つ汝を赦す。外人をして知らしむる勿かれ。
現代語訳
太祖が韓王(趙普)を寵愛することは、自分の左右の手のようであった。御史中丞の雷徳驤が、趙普が人の屋敷を強引に買い上げ、賄賂を集めていると弾劾した。太祖は怒って叱りつけた。「鼎や鍋にさえ耳はある。おまえは趙普が私の社稷の臣だと聞いていないのか」。左右に命じて庭を何周も引き回させ、やがて冠をかぶり直させ、呼んで殿に上らせて言った。「今後はこのようなことはよくない。それにおまえを赦す。外の者に知らせるな」。
解説
宰相への弾劾を、太祖が力ずくで潰した場面です。**鼎や鍋にさえ耳はある**——世間の耳がある、という言い回しで叱りつけ、庭を引き回させました。ただし終わり方が変わっています。冠をかぶり直させ、殿に上らせ、赦したうえで「外の者に知らせるな」と言う。罰しきらず、恥も外に出さない。功臣を守った一方で、弾劾した側も潰していません。司馬光『涑水記聞』による、と注があります。
この章句が説くこと
鼎鐺すら尚お耳有り今後爾る宜しからず且つ汝を赦す外人をして知らしむる勿かれ趙普は吾が社稷の臣なり庇護告発体面
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