甲陽軍鑑 / 品第四十三
加藤駿河守かねて是をたつる、駿河守死去の後大剛の衆も皆侍大將·足輕大將なる故、御旗奉行より是を立る、騎馬奉行はいたすも有といへども、それは武者とはいはず、武者奉行は御大將へ弓矢の助言申人成者なり、旗本衆は武者奉行口をまほつて御大將と對々に存ずるにつき、武者奉行少も人數を持てはならざる役也、弓矢の功者少しも疑ひ有てはならざる事也、
新字:加藤駿河守かねて是をたつる、駿河守死去の後大剛の衆も皆侍大将·足軽大将なる故、御旗奉行より是を立る、騎馬奉行はいたすも有といへども、それは武者とはいはず、武者奉行は御大将へ弓矢の助言申人成者なり、旗本衆は武者奉行口をまほつて御大将と対々に存ずるにつき、武者奉行少も人数を持てはならざる役也、弓矢の功者少しも疑ひ有てはならざる事也、
書き下し
加藤駿河守かねて是をたつる、駿河守死去の後大剛の衆も皆侍大将·足軽大将なる故、御旗奉行より是を立る、騎馬奉行はいたすも有といへども、それは武者とはいはず、武者奉行は御大将へ弓矢の助言申人成者なり、旗本衆は武者奉行口をまほつて御大将と対々に存ずるにつき、武者奉行少も人数を持てはならざる役也、弓矢の功者少しも疑ひ有てはならざる事也、
現代語訳
右の札は武者奉行から書き出すにより、加藤駿河守がかねてこれを立てる。駿河守死去の後は、大剛の衆も皆が侍大将・足軽大将になるゆえに、御旗奉行からこれを立てる。騎馬奉行がいたす事もあるといえども、それは武者とは言わない。武者奉行は御大将へ弓矢の助言を申す人である者なり。旗本衆は武者奉行の口を守って御大将と対々に存ずるにつき、武者奉行は少しも人数を持ってはならない役である。弓矢の功者に、少しも疑いがあってはならない事である。
解説
大将に軍事の助言をする役には、自分の手勢を持たせない。手勢があれば、助言が自分の隊の都合に寄ると疑われるからである。助言する者の言葉が疑われた時点でその役は死ぬ、という理由で、権限と兵力を切り離している。助言する者の言葉が疑われた時点でその役は死ぬ、という理由で、権限と兵力を切り離している。疑われない形を、先に作っておく配りである。
この章句が説くこと
武者奉行助言利害分離信用役
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