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甲陽軍鑑 / 品第四十三

扨又若敵とは年はいくつにもなり候へ、よはくもつよくも落つかず、一度もほまれなき大將は其わざ若き故、是若敵と云ふ、勿論年若く、てがらなきは若敵也、年寄て一度も譽れなき大將は世間のとなへ口惜存ぜられ、何樣のはたらきこれ有べきもしらず、必らずあなづる事なかれ、其國より來る者によく尋ねて後ち國へ取かけ戰かふべきならし尤之事、

新字:扨又若敵とは年はいくつにもなり候へ、よはくもつよくも落つかず、一度もほまれなき大将は其わざ若き故、是若敵と云ふ、勿論年若く、てがらなきは若敵也、年寄て一度も誉れなき大将は世間のとなへ口惜存ぜられ、何様のはたらきこれ有べきもしらず、必らずあなづる事なかれ、其国より来る者によく尋ねて後ち国へ取かけ戦かふべきならし尤之事、

書き下し

扨又若敵とは年はいくつにもなり候へ、よはくもつよくも落つかず、一度もほまれなき大将は其わざ若き故、是若敵と云ふ、勿論年若く、てがらなきは若敵也、年寄て一度も誉れなき大将は世間のとなへ口惜存ぜられ、何様のはたらきこれ有べきもしらず、必らずあなづる事なかれ、其国より来る者によく尋ねて後ち国へ取かけ戦かふべきならし尤之事、

現代語訳

さてまた若敵とは、年はいくつになっていても、弱くも強くも落ち着かず、一度も誉れのない大将は、そのわざが若いゆえに、これを若敵という。もちろん年が若く、手柄のないのは若敵である。年寄って一度も誉れのない大将は、世間の唱えを口惜しく存ぜられ、どのような働きがあるかも知れない。必ず侮る事なかれ。その国から来る者によく尋ねて、後に国へ取り掛かり戦うべきである。目算の慣らし、もっともの事。

解説

年齢ではなく、誉れの有無で若いと呼ぶ。そして侮るなという理由が面白い。年寄って一度も誉れのない大将は、その事を世間から言われるのが口惜しいから、何をするか分からないという。追い詰められた自尊心を、危険の理由として数えている。追い詰められた自尊心を、危険の理由として数えている。年齢ではなく誉れの有無で若いと呼ぶ、という定義そのものも独特である。

この章句が説くこと

若敵誉れ侮り自尊不測備え

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