甲陽軍鑑 / 品第四十一
又ゆるす事もあるべき事是法度のもと也右五ヶ條の理第一に人の目きゝあしき事を申すに、國持或は二郡·三郡とも人數を引廻す大將は、ひろくめぐみ給ふにより家老の內にも其品々有、是をくだ物にたとふるに、梅·桃などゝ云ふ物は先花さきてのち實なるなり又ざくろ·瓜などゝいふ物は先みなりて後花さくものなり、扨て又蓮花と云ふ物は花も實も一度にめぐむなり、此三樣がいづれもすつるにあらず、如此に國持大將の人をつかひ給ふ事、國土の草木をやしなひ置ごとし、
新字:又ゆるす事もあるべき事是法度のもと也右五ヶ条の理第一に人の目きゝあしき事を申すに、国持或は二郡·三郡とも人数を引廻す大将は、ひろくめぐみ給ふにより家老の内にも其品々有、是をくだ物にたとふるに、梅·桃などゝ云ふ物は先花さきてのち実なるなり又ざくろ·瓜などゝいふ物は先みなりて後花さくものなり、扨て又蓮花と云ふ物は花も実も一度にめぐむなり、此三様がいづれもすつるにあらず、如此に国持大将の人をつかひ給ふ事、国土の草木をやしなひ置ごとし、
書き下し
又ゆるす事もあるべき事是法度のもと也右五ヶ条の理第一に人の目きゝあしき事を申すに、国持或は二郡·三郡とも人数を引廻す大将は、ひろくめぐみ給ふにより家老の内にも其品々有、是をくだ物にたとふるに、梅·桃などゝ云ふ物は先花さきてのち実なるなり又ざくろ·瓜などゝいふ物は先みなりて後花さくものなり、扨て又蓮花と云ふ物は花も実も一度にめぐむなり、此三様がいづれもすつるにあらず、如此に国持大将の人をつかひ給ふ事、国土の草木をやしなひ置ごとし、
現代語訳
右の五か条の理。第一に、人の目利きが悪い事を申すに、国持ちあるいは二郡・三郡とも人数を引き回す大将は、広く恵まれるにより、家老の内にもその品々がある。これを果物にたとえるに、梅・桃などという物は、まず花が咲いて後に実がなる。またざくろ・瓜などという物は、まず実がなって後に花が咲く物である。さてまた蓮花という物は、花も実も一度にめぐむ。この三様がいずれも捨てるにあらず。このように国持ちの大将が人を使い給う事は、国土の草木を養い置くごとくである。
解説
この章句が説くこと
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