甲陽軍鑑 / 品第六
松永彈正といふは三善修理太夫殿へ右筆に罷出、分別才覺をもつて立身をいたし、修理太夫殿逝去の後子息左京の太夫殿の御局と夫婦に罷成る、然間內緣をもつての故悉皆政道彈正がはからひとなる、依之三善家に傳はる家老松永と中不和、件の松永和州に居住しけるに、屏下地の爲にとて、我領地の柿の串の長さ間半に定め、其外種々貪り詔ひたる仕置なれは、民悉く迷惑す、
新字:松永弾正といふは三善修理太夫殿へ右筆に罷出、分別才覚をもつて立身をいたし、修理太夫殿逝去の後子息左京の太夫殿の御局と夫婦に罷成る、然間内縁をもつての故悉皆政道弾正がはからひとなる、依之三善家に伝はる家老松永と中不和、件の松永和州に居住しけるに、屏下地の為にとて、我領地の柿の串の長さ間半に定め、其外種々貪り詔ひたる仕置なれは、民悉く迷惑す、
書き下し
松永弾正といふは三善修理太夫殿へ右筆に罷出、分別才覚をもつて立身をいたし、修理太夫殿逝去の後子息左京の太夫殿の御局と夫婦に罷成る、然間内縁をもつての故悉皆政道弾正がはからひとなる、依之三善家に伝はる家老松永と中不和、件の松永和州に居住しけるに、屏下地の為にとて、我領地の柿の串の長さ間半に定め、其外種々貪り詔ひたる仕置なれは、民悉く迷惑す、
現代語訳
松永弾正というのは、三好修理太夫殿へ右筆として罷り出て、分別才覚をもって立身をいたし、修理太夫殿逝去の後、子息の左京太夫殿の御局と夫婦に罷り成る。そうであるから内縁をもってのゆえに、ことごとく政道は弾正の計らいとなる。これによって三好家に伝わる家老と松永は仲が不和となった。あの松永は和州に居住していたが、屏の下地のためといって、我が領地の柿の串の長さを間半に定め、そのほか種々に貪り詐った仕置きであるから、民はことごとく迷惑する。
解説

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