師導古典を学びたいすべての人に

甲陽軍鑑 / 品第六

十七歲にて思ひ立ち、當年より三ヶ年の間、夏百日づゝ求聞持の法を行ぜんと宣ふ、家老の者それは何の爲にあそはされんと申す、修理太夫武道譽の爲なりと宣ふ、家老承り三善の御家に生れ給へは冥加も果報も一段目出度御座ものを、何ぞあら行無御勿体と諫言す、三善殿宣ふは各々我を冥加も果報もあらんと云ふ是れ推量也、義貞公の軍記にも推量をばきらふ也、我幼少のことなる故、末の儀を不知しらねば先惡しかるべしと覺悟いたすが尤也、

新字:十七歳にて思ひ立ち、当年より三ヶ年の間、夏百日づゝ求聞持の法を行ぜんと宣ふ、家老の者それは何の為にあそはされんと申す、修理太夫武道誉の為なりと宣ふ、家老承り三善の御家に生れ給へは冥加も果報も一段目出度御座ものを、何ぞあら行無御勿体と諫言す、三善殿宣ふは各々我を冥加も果報もあらんと云ふ是れ推量也、義貞公の軍記にも推量をばきらふ也、我幼少のことなる故、末の儀を不知しらねば先悪しかるべしと覚悟いたすが尤也、

書き下し

十七歳にて思ひ立ち、当年より三ヶ年の間、夏百日づゝ求聞持の法を行ぜんと宣ふ、家老の者それは何の為にあそはされんと申す、修理太夫武道誉の為なりと宣ふ、家老承り三善の御家に生れ給へは冥加も果報も一段目出度御座ものを、何ぞあら行無御勿体と諫言す、三善殿宣ふは各々我を冥加も果報もあらんと云ふ是れ推量也、義貞公の軍記にも推量をばきらふ也、我幼少のことなる故、末の儀を不知しらねば先悪しかるべしと覚悟いたすが尤也、

現代語訳

十七歳で思い立ち、当年から三か年の間、夏に百日ずつ求聞持の法を行じようとおっしゃる。家老の者が、それは何のためになさるのですかと申す。修理太夫は、武道の誉れのためだとおっしゃる。家老は承って、三好の御家にお生まれになったのだから、冥加も果報も一段めでたくおありのものを、なぜ荒行をなさるのか、もったいないと諫言する。三好殿がおっしゃるには、めいめいが我に冥加も果報もあろうと言う、これは推量である。義貞公の軍記にも推量を嫌うとある。我は幼少のことであるから、末の儀を知らない。知らなければ、まず悪かろうと覚悟いたすのがもっともである。

解説

生まれがよいのだから大丈夫だ、という慰めを推量の一語で退けている。分からない先の事は、まず悪いほうに見ておくのが覚悟だという。家の力を当てにしないという意味では、謙信が親に譲られる者は苦を知らないと言ったのと同じ場所に立っている。分からない先の事は、まず悪いほうに見ておくのが覚悟だという。家の力を当てにしないという点で、謙信の言葉と同じ場所に立っている。

この章句が説くこと

推量果報覚悟家柄修行先読み

関連する章句

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

師導で古典を学ぶ
いま登録すると、7日間すべての機能を無料でお試しいただけます。 無料ではじめる