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甲陽軍鑑 / 品第六

後に太田美濃と云此者幼少より犬ずきをする、ある年武州松山の城を取もつ、己が居城は岩付也、然れは松山にて飼たてたる犬を五十疋岩付にをき、岩付にて飼たてたる犬を五十疋松山におく、各の沙汰に太田美濃はうつけたる者也、稚き者のごとく犬にすかるゝと申あへり、

書き下し

後に太田美濃と云此者幼少より犬ずきをする、ある年武州松山の城を取もつ、己が居城は岩付也、然れは松山にて飼たてたる犬を五十疋岩付にをき、岩付にて飼たてたる犬を五十疋松山におく、各の沙汰に太田美濃はうつけたる者也、稚き者のごとく犬にすかるゝと申あへり、

現代語訳

後に太田美濃という。この者は幼少より犬好きをする。ある年、武州松山の城を持つ。自分の居城は岩付である。そこで松山で飼い立てた犬を五十疋、岩付に置き、岩付で飼い立てた犬を五十疋、松山に置く。めいめいの沙汰に、太田美濃はうつけた者である、幼い者のように犬にすかれると申し合った。

解説

二つの城で犬を交換して飼うという、意味の分からない事をしている。周りはうつけと言った。信長の少年時代と同じで、この書は先に世評を書いてから、その世評が外れる場面を置く。犬の値打ちは次の段で分かる。犬の値打ちは次の段で分かる。先に世評を書いてから、その世評が外れる場面を置くという運びは、信長の少年時代と同じ形になっている。

この章句が説くこと

太田備え世評平時仕込み

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