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甲陽軍鑑 / 品第六

をびへ鯨波をつくりあはてゝ立のき、もし義元うたれ玉ふこと僞におひては、以後何たる手柄をしてもすこぐべきこと不可有之一儀事實正におひては、定て味方より飛脚到來すべし、無一左右以前に、敵寄來らば於此城おそらくは花を散して相はたらくへし、もしそれ故に討れんは元康が弓矢を取ての面目ならんと宣て、

新字:をびへ鯨波をつくりあはてゝ立のき、もし義元うたれ玉ふこと偽におひては、以後何たる手柄をしてもすこぐべきこと不可有之一儀事実正におひては、定て味方より飛脚到来すべし、無一左右以前に、敵寄来らば於此城おそらくは花を散して相はたらくへし、もしそれ故に討れんは元康が弓矢を取ての面目ならんと宣て、

書き下し

をびへ鯨波をつくりあはてゝ立のき、もし義元うたれ玉ふこと偽におひては、以後何たる手柄をしてもすこぐべきこと不可有之一儀事実正におひては、定て味方より飛脚到来すべし、無一左右以前に、敵寄来らば於此城おそらくは花を散して相はたらくへし、もしそれ故に討れんは元康が弓矢を取ての面目ならんと宣て、

現代語訳

おびえて鬨の声をつくり、慌てて立ち退き、もし義元が討たれられた事が偽りであった場合には、以後どんな手柄をしても取り返せる事はあるまい。一、事が実正であった場合には、きっと味方から飛脚が到来するはずだ。左右のない以前に敵が寄せて来たならば、この城において、おそらくは花を散らして働くことになろう。もしそれゆえに討たれるならば、元康が弓矢を取っての面目であろう、とおっしゃって。

解説

待つと決めたうえで、外れた場合と当たった場合の両方を先に置いている。偽りなら取り返しがつかない、本当なら味方から必ず知らせが来る、その前に攻められたら討死するまでだ。待つ判断が博打ではなく、最悪の結末まで見てからの覚悟であることを示している。待つ判断が博打ではなく、最悪の結末まで見てからの覚悟であることを示している。外れた場合の損まで、先に数え上げてから待っている。

この章句が説くこと

待つ覚悟飛脚最悪籠城決断

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