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甲陽軍鑑 / 品第六

武略をもつて治むるは武士の第一のほまれと云ふ然れば計略にしたをさるゝは、女人にあひ似たる事也、侍が二心あるをばかたましき男とて武士にはきらふぞかし、十が九義元うたれ玉ふと存する共、敵方より告來らば虛言と相心得此城を立さらざるは武士にめづらしからぬ作法也、

新字:武略をもつて治むるは武士の第一のほまれと云ふ然れば計略にしたをさるゝは、女人にあひ似たる事也、侍が二心あるをばかたましき男とて武士にはきらふぞかし、十が九義元うたれ玉ふと存する共、敵方より告来らば虚言と相心得此城を立さらざるは武士にめづらしからぬ作法也、

書き下し

武略をもつて治むるは武士の第一のほまれと云ふ然れば計略にしたをさるゝは、女人にあひ似たる事也、侍が二心あるをばかたましき男とて武士にはきらふぞかし、十が九義元うたれ玉ふと存する共、敵方より告来らば虚言と相心得此城を立さらざるは武士にめづらしからぬ作法也、

現代語訳

武略をもって治めるのは武士の第一の誉れという。であれば、計略に下されるのは女人に似たことである。侍が二心あるのを、かたましき男といって武士は嫌うぞかし。十のうち九は義元が討たれられたと思っても、敵方から告げて来たならば虚言と心得て、この城を立ち去らないのは、武士として珍しくもない作法である。

解説

謀るのは誉れ、謀られるのは恥。そのうえで、十中八九は事実だと自分でも思っている、と認めている。事実かどうかではなく、敵方から来た情報で城を捨てたという形を作らないという判断で、動かない理由を作法の側に置いた。事実かどうかではなく、敵方から来た情報で城を捨てたという形を作らないという判断である。動かない理由を、作法の側に置いている。

この章句が説くこと

計略二心作法武略情報

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