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甲陽軍鑑 / 品第四十八

其上坊主が俗の所へ押入女を質に取りてかへるほどならば、彼代物借たる町人まへ年坊主をあなどり、借物をばきつかはずして、出家に腹をたゝする俗人が下女をとられてから、年々少しづこも返辨するに、坊主の久敷借たる物を取きらずは、返すまじきと申內に物かりたる町人死したらば、無智の僧の心に、年月あなづられたる、幸に女をとらんと思ふ程の道理有まじ、

新字:其上坊主が俗の所へ押入女を質に取りてかへるほどならば、彼代物借たる町人まへ年坊主をあなどり、借物をばきつかはずして、出家に腹をたゝする俗人が下女をとられてから、年々少しづこも返弁するに、坊主の久敷借たる物を取きらずは、返すまじきと申内に物かりたる町人死したらば、無智の僧の心に、年月あなづられたる、幸に女をとらんと思ふ程の道理有まじ、

書き下し

其上坊主が俗の所へ押入女を質に取りてかへるほどならば、彼代物借たる町人まへ年坊主をあなどり、借物をばきつかはずして、出家に腹をたゝする俗人が下女をとられてから、年々少しづこも返弁するに、坊主の久敷借たる物を取きらずは、返すまじきと申内に物かりたる町人死したらば、無智の僧の心に、年月あなづられたる、幸に女をとらんと思ふ程の道理有まじ、

現代語訳

そのうえ、坊主が俗の所へ押し入り女を質に取りて帰るほどならば、かの代物を借りたる町人は前年に坊主を侮り、借り物をば急度返さずして出家に腹を立たする俗人が、下女を取られてから年々少しずつも返弁するに、坊主が久しく借りたる物を取り切らずは返すまじきと申す内に、物を借りたる町人が死したらば、無智の僧の心に、年月侮られたるを幸いに女を取らんと思うほどの道理はあるまじ。

解説

押し入って質を取るほどの相手なら、それまで散々に侮られていたはずだと逆から読む。返済が始まったのも取られてからで、しかも相手は死んだ。長く侮られてきた側が、それを機会に女を取ろうと考えるほどの筋はないと見る。長く侮られてきた側が、それを機会に女を取ろうと考えるほどの筋はないと見る。押し入って質を取るほどの相手なら、それまで散々に侮られていたはずだからである。

この章句が説くこと

侮り返弁経緯逆読み信玄

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