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甲陽軍鑑 / 品第四十八

さありて廣瀨·みしなにさいはいをゆるさねば山縣大ぞなへにて人數まはりかぬる、まはりかぬれば自らほさきもよはきやうになる、よはければ合戰·せりあひにをくれをとるぞ、をくれをとれば三郎兵衛が負といはず信玄がまけと云、我ためにて有ほどに、廣瀨·みしながさいはいに辻彌兵衞遺恨は相やめてくれ候へ、其方などにも、さいはいゆるしてもよからんずれ共、當時新羅三郞公より武田家の作法にて、侍大將せぬ者に四十をこさねばさいはいゆるさゞる軍法なれば、かた〳〵もつて信玄に免じて物いひすべからず、

新字:さありて広瀨·みしなにさいはいをゆるさねば山県大ぞなへにて人数まはりかぬる、まはりかぬれば自らほさきもよはきやうになる、よはければ合戦·せりあひにをくれをとるぞ、をくれをとれば三郎兵衛が負といはず信玄がまけと云、我ためにて有ほどに、広瀨·みしながさいはいに辻弥兵衛遺恨は相やめてくれ候へ、其方などにも、さいはいゆるしてもよからんずれ共、当時新羅三郎公より武田家の作法にて、侍大将せぬ者に四十をこさねばさいはいゆるさゞる軍法なれば、かた〳〵もつて信玄に免じて物いひすべからず、

書き下し

さありて広瀨·みしなにさいはいをゆるさねば山県大ぞなへにて人数まはりかぬる、まはりかぬれば自らほさきもよはきやうになる、よはければ合戦·せりあひにをくれをとるぞ、をくれをとれば三郎兵衛が負といはず信玄がまけと云、我ためにて有ほどに、広瀨·みしながさいはいに辻弥兵衛遺恨は相やめてくれ候へ、其方などにも、さいはいゆるしてもよからんずれ共、当時新羅三郎公より武田家の作法にて、侍大将せぬ者に四十をこさねばさいはいゆるさゞる軍法なれば、かた〳〵もつて信玄に免じて物いひすべからず、

現代語訳

そうであって、広瀬・三品に采配を許さねば、山県は大備えにて人数が回りかぬる。回りかぬれば、自ずと矛先も弱きようになる。弱ければ合戦・競り合いに後れを取るぞ。後れを取れば三郎兵衛の負けとは言わず、信玄の負けと言う。我がためであるほどに、広瀬・三品が采配に、辻弥兵衛の遺恨は相やめてくれ候え。その方などにも采配を許してもよからんずれども、当時、新羅三郎公より武田家の作法にて、侍大将をせぬ者に四十を越さねば采配を許さざる軍法なれば、方々もって信玄に免じて物言いすべからず。

解説

訴えは通したうえで、相手の采配は取り上げない。備えが回らなければ矛先が弱り、負ければそれは自分の負けだからである。そして許せない理由も、四十を越さねばという古い定めとして示し、自分に免じて堪えよと頼む。許せない理由も、四十を越さねばという古い定めとして示し、自分に免じて堪えよと頼む。備えが回らなければ矛先が弱り、負ければ自分の負けになる。

この章句が説くこと

采配備え矛先遺恨軍法四十

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