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甲陽軍鑑 / 品第四十八

かた〳〵の我等罷出ざる以前の武邊は、それがし父の六郞兵衞、ほそ心操をもつて次あひに仕候、左候は十三年以降はわかく候へども各より、ちと我等仕りかさみ申候、其上廣瀨殿頸澤山に御取候よし、それは尤も大剛の人なり、さりながら我等の五ツ取候しるしも、ざいこそ手にかけず共、かねまつ黑に付て匂ひ芬々ととめたる頸にて候へば、かた〳〵の討たる者にはます共おとり申まじ、さいはい手にかけたる人よりも結句ましの者にても候べしと申せば、

新字:かた〳〵の我等罷出ざる以前の武辺は、それがし父の六郎兵衛、ほそ心操をもつて次あひに仕候、左候は十三年以降はわかく候へども各より、ちと我等仕りかさみ申候、其上広瀨殿頸沢山に御取候よし、それは尤も大剛の人なり、さりながら我等の五ツ取候しるしも、ざいこそ手にかけず共、かねまつ黒に付て匂ひ芬々ととめたる頸にて候へば、かた〳〵の討たる者にはます共おとり申まじ、さいはい手にかけたる人よりも結句ましの者にても候べしと申せば、

書き下し

かた〳〵の我等罷出ざる以前の武辺は、それがし父の六郎兵衛、ほそ心操をもつて次あひに仕候、左候は十三年以降はわかく候へども各より、ちと我等仕りかさみ申候、其上広瀨殿頸沢山に御取候よし、それは尤も大剛の人なり、さりながら我等の五ツ取候しるしも、ざいこそ手にかけず共、かねまつ黒に付て匂ひ芬々ととめたる頸にて候へば、かた〳〵の討たる者にはます共おとり申まじ、さいはい手にかけたる人よりも結句ましの者にても候べしと申せば、

現代語訳

方々の、我らが罷り出ざる以前の武辺は、それがしの父の六郎兵衛が細き心操をもって次合いに仕り候。さ候わば、十三年以降は若く候えども、方々よりちと我らが仕り嵩み申し候。そのうえ広瀬殿は首を沢山に御取り候よし、それはもっとも大剛の人なり。さりながら、我らの五つ取り候印しも、采配こそ手にかけずとも、鉄漿黒に付けて匂い芬々ととどめたる首にて候えば、方々の討ちたる者には勝るとも劣り申すまじ。采配を手にかけたる人よりも、結局はましの者にても候べしと申せば。

解説

采配持ちの首は取っていないが、こちらの首は歯を黒く染め香を焚きしめた身なりの者だと返す。役の高さではなく、身ごしらえの整った相手だったという別の物差しを持ち出している。数え方そのものを争っている。数え方そのものを争っている。役の高さではなく、歯を黒く染め香を焚きしめた身ごしらえの整った相手だったという、別の物差しを立てている。

この章句が説くこと

采配鉄漿黒物差し広瀬

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