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甲陽軍鑑 / 品第四十七

然る所に曲淵が公事のあくる日に、御舍弟逍遙軒被官落合彥助と申者百姓と公事を仕り、負て奉行を惡口申其日の橫奉行は金丸平三郞也、五人の中にても一入御前よきゆへ落合が雜言の樣子申上る、信玄公聞召し、公事の次第は何と御尋ある平三郞申は、其段は奉行衆へ可被尋仰候、我等はたゞ雜言の事ばかりと申候、信玄公聞こしめし、當家法度の式目を則ち存じいたすことやさしき分別なりとて彼平三郞を御褒美あり、

新字:然る所に曲淵が公事のあくる日に、御舎弟逍遥軒被官落合彥助と申者百姓と公事を仕り、負て奉行を悪口申其日の横奉行は金丸平三郎也、五人の中にても一入御前よきゆへ落合が雑言の様子申上る、信玄公聞召し、公事の次第は何と御尋ある平三郎申は、其段は奉行衆へ可被尋仰候、我等はたゞ雑言の事ばかりと申候、信玄公聞こしめし、当家法度の式目を則ち存じいたすことやさしき分別なりとて彼平三郎を御褒美あり、

書き下し

然る所に曲淵が公事のあくる日に、御舎弟逍遥軒被官落合彥助と申者百姓と公事を仕り、負て奉行を悪口申其日の横奉行は金丸平三郎也、五人の中にても一入御前よきゆへ落合が雑言の様子申上る、信玄公聞召し、公事の次第は何と御尋ある平三郎申は、其段は奉行衆へ可被尋仰候、我等はたゞ雑言の事ばかりと申候、信玄公聞こしめし、当家法度の式目を則ち存じいたすことやさしき分別なりとて彼平三郎を御褒美あり、

現代語訳

しかるところに、曲淵の公事の明くる日に、御舎弟の逍遥軒の被官、落合彦助と申す者が百姓と公事を仕り、負けて奉行を悪口申す。その日の横奉行は金丸平三郎である。五人の中でも一入、御前がよいゆえに落合の雑言の様子を申し上げる。信玄公が聞こし召し、公事の次第は何と御尋ねある。平三郎が申すは、その段は奉行衆へ尋ねられ仰せられ候え。我らはただ雑言の事ばかりと申し候。信玄公が聞こし召し、当家法度の式目をすなわち存じいたす事、やさしき分別であるとて、かの平三郎を御褒美あり。

解説

立ち会いの役が、雑言のことだけを報告し、訴訟の中身は奉行に聞いてくれと言う。自分の役の範囲を越えないという一点が、その場で褒美になる。新しい役の使い方が、一件目で示されている。新しい役の使い方が、一件目で示されている。自分の役の範囲を越えず、雑言のことだけを報告したことが、その場でそのまま褒美になっている。

この章句が説くこと

横奉行職分線引き報告金丸信玄

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