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甲陽軍鑑 / 品第四十七

又小幡山城がむすこ小幡彌次郞おたりの城主を、弟の次郞左衞門其城二のくるわの主なるをうち、則ち其內にて家老をいたす者の頸一ツ合せて三ツとり、高名をしてさいはいをそへ持ち來る、五千の中旗本に二人、先衆に二人合せて四人にすくれたる彼の曲淵、手疵もはやいままでに二十ヶ所あまりかうふるときく、あのやうなる者一備の中に一兩人づゝあれば、若者共たしなみてあのごとく手がらを仕り、主や寄親にはをぬきても大事なしとて、殊の外よき者おほく出くる物なりと仰せ出さるゝ、

新字:又小幡山城がむすこ小幡弥次郎おたりの城主を、弟の次郎左衛門其城二のくるわの主なるをうち、則ち其内にて家老をいたす者の頸一ツ合せて三ツとり、高名をしてさいはいをそへ持ち来る、五千の中旗本に二人、先衆に二人合せて四人にすくれたる彼の曲淵、手疵もはやいままでに二十ヶ所あまりかうふるときく、あのやうなる者一備の中に一両人づゝあれば、若者共たしなみてあのごとく手がらを仕り、主や寄親にはをぬきても大事なしとて、殊の外よき者おほく出くる物なりと仰せ出さるゝ、

書き下し

又小幡山城がむすこ小幡弥次郎おたりの城主を、弟の次郎左衛門其城二のくるわの主なるをうち、則ち其内にて家老をいたす者の頸一ツ合せて三ツとり、高名をしてさいはいをそへ持ち来る、五千の中旗本に二人、先衆に二人合せて四人にすくれたる彼の曲淵、手疵もはやいままでに二十ヶ所あまりかうふるときく、あのやうなる者一備の中に一両人づゝあれば、若者共たしなみてあのごとく手がらを仕り、主や寄親にはをぬきても大事なしとて、殊の外よき者おほく出くる物なりと仰せ出さるゝ、

現代語訳

また小幡山城の息子、小幡弥次郎が小谷の城主を、弟の次郎左衛門がその城の二の曲輪の主なるを討ち、すなわちその内にて家老をいたす者の首一つ、合せて三つ取り、高名をして采配を添え持ち来る。五千の中、旗本に二人、先衆に二人、合せて四人にすぐれたるかの曲淵。手疵ももはや今までに二十か所あまり被ると聞く。あのような者が一備の中に一両人ずついれば、若者どもが嗜みてあのごとく手柄を仕り、主や寄親に刃を抜いても大事なしとて、殊のほかよき者が多く出てくる物であると仰せ出だされる。

解説

五千のうち四人が抜きん出て、その中でも曲淵だと数える。傷は二十か所を超える。そして結論は、こういう者が一つの備えに一両人いれば、若い者が真似て手柄を立てるようになるから、上役に刃を抜いても構わないというものである。上役に刃を抜いても構わない、という結論の理由が実務的である。こういう者が一つの備えに一両人いれば、若い者が真似て手柄を立てるようになるからだという。

この章句が説くこと

曲淵手疵備え若者手本信玄

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