甲陽軍鑑 / 品第四十七
其上四人の者誓紙を仕り、立退くまじきと申たれば神慮もいかゞなり、縱ひ誓紙を仕らず共、あれまでまいるほどならば長沼兄弟が歸れと申とて、尤と同じて歸る事はおのこ子にはあるまじ、それは武士道をたて、跡から行程ならば長沼爲ばかりにてもなし、且はおのれか身の爲なる所に、誓紙をして見つぐほどのちかづきを、何のとがもなきに我身をほめんとおもふばかりに、四人の中より一人ぬき出、
新字:其上四人の者誓紙を仕り、立退くまじきと申たれば神慮もいかゞなり、縦ひ誓紙を仕らず共、あれまでまいるほどならば長沼兄弟が帰れと申とて、尤と同じて帰る事はおのこ子にはあるまじ、それは武士道をたて、跡から行程ならば長沼為ばかりにてもなし、且はおのれか身の為なる所に、誓紙をして見つぐほどのちかづきを、何のとがもなきに我身をほめんとおもふばかりに、四人の中より一人ぬき出、
書き下し
其上四人の者誓紙を仕り、立退くまじきと申たれば神慮もいかゞなり、縦ひ誓紙を仕らず共、あれまでまいるほどならば長沼兄弟が帰れと申とて、尤と同じて帰る事はおのこ子にはあるまじ、それは武士道をたて、跡から行程ならば長沼為ばかりにてもなし、且はおのれか身の為なる所に、誓紙をして見つぐほどのちかづきを、何のとがもなきに我身をほめんとおもふばかりに、四人の中より一人ぬき出、
現代語訳
そのうえ四人の者は誓紙をいたし、立ち退くまじきと申したれば神慮もいかがである。たとえ誓紙をいたさずとも、あれまで参るほどならば、長沼兄弟が帰れと申すとて、もっともと同じて帰る事は男の子にはあるまじ。それは武士道を立て、跡から行くほどならば長沼のためばかりにてもなし。かつはおのれが身のためなる所に、誓紙をして見継ぐほどの近づきを、何の科もなきに、我が身を褒めんと思うばかりに、四人の中より一人抜き出し。
解説
助太刀は相手のためだけでなく、自分の武士道を立てるためでもあると見る。それだけの縁で結ばれた四人のうち、自分ひとりを抜き出して手柄を語ったことが、この一件の非として名指しされている。それだけの縁で結ばれた四人のうち、自分ひとりを抜き出して手柄を語ったことが、この一件の非として名指しされている。助太刀は、相手のためだけでなく自分の武士道を立てるためでもある。
この章句が説くこと
誓紙助太刀自分抜き出す非裁き
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