甲陽軍鑑 / 品第四十七
長沼長助·長八是をきゝ、こゝをのがしては又いつの時にうつべきぞ、甲斐の國を出るより、いきて歸らんと思ふにこそ、をのれ兩人は只今より國へもどり、武田の八幡へ參り、御宮右の方なる杉の枝にかき物をいたしてゆひつくる、それは此度かたきを仕らずば、國もとへ歸るまじとの事なりとてきつてかゝる、
新字:長沼長助·長八是をきゝ、こゝをのがしては又いつの時にうつべきぞ、甲斐の国を出るより、いきて帰らんと思ふにこそ、をのれ両人は只今より国へもどり、武田の八幡へ参り、御宮右の方なる杉の枝にかき物をいたしてゆひつくる、それは此度かたきを仕らずば、国もとへ帰るまじとの事なりとてきつてかゝる、
書き下し
長沼長助·長八是をきゝ、こゝをのがしては又いつの時にうつべきぞ、甲斐の国を出るより、いきて帰らんと思ふにこそ、をのれ両人は只今より国へもどり、武田の八幡へ参り、御宮右の方なる杉の枝にかき物をいたしてゆひつくる、それは此度かたきを仕らずば、国もとへ帰るまじとの事なりとてきつてかゝる、
現代語訳
長沼長助・長八がこれを聞き、ここを逃しては、また何時の時に討つべきぞ。甲斐の国を出るより、生きて帰らんと思うにこそ。おのれ両人はただ今より国へ戻り、武田の八幡へ参り、御宮の右の方なる杉の枝に書き物をいたして結い付ける。それは、この度、敵を仕らずば国元へ帰るまじとの事であるとて、斬ってかかる。
解説
止められて、出発の前に八幡へ結い付けてきた書き物を持ち出す。討たなければ帰らないと神前に書いて出てきたのだから、条件が悪くても引けない。先に退路を断ってあったことが、ここで効いている。先に退路を断ってあったことが、ここで効いている。討たなければ帰らないと神前に書いて出てきた以上、条件が悪くても引けなくなる。
この章句が説くこと
誓い八幡退路決断長沼敵討
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