師導古典を学びたいすべての人に

甲陽軍鑑 / 品第四十

其人をばあすならふ侍と、是れをいふ子細は、諸木の中に名のなき木一本あり、此木が申す、杉より檜の木がまし、ひの木もこめなるはよしなどゝ沙汰するを、餘の木共がとひやうに、其方は何とゝいへば彼の名のなき木が、それがしは檜の木のぢやうにあすならふと云ふて、終に何にもならざる間、此の木の名をあすならふと名づくるごとく、よき武士をそねんで、手がらのなき男は、あすならふ男と是を名づけんとて、內藤修理いふて笑ひ候、

新字:其人をばあすならふ侍と、是れをいふ子細は、諸木の中に名のなき木一本あり、此木が申す、杉より檜の木がまし、ひの木もこめなるはよしなどゝ沙汰するを、余の木共がとひやうに、其方は何とゝいへば彼の名のなき木が、それがしは檜の木のぢやうにあすならふと云ふて、終に何にもならざる間、此の木の名をあすならふと名づくるごとく、よき武士をそねんで、手がらのなき男は、あすならふ男と是を名づけんとて、内藤修理いふて笑ひ候、

書き下し

其人をばあすならふ侍と、是れをいふ子細は、諸木の中に名のなき木一本あり、此木が申す、杉より檜の木がまし、ひの木もこめなるはよしなどゝ沙汰するを、余の木共がとひやうに、其方は何とゝいへば彼の名のなき木が、それがしは檜の木のぢやうにあすならふと云ふて、終に何にもならざる間、此の木の名をあすならふと名づくるごとく、よき武士をそねんで、手がらのなき男は、あすならふ男と是を名づけんとて、内藤修理いふて笑ひ候、

現代語訳

その人を、明日なろう侍と、これを言う子細は、諸木の中に名のない木が一本ある。この木が申すには、杉より檜の木が勝りだ、檜の木も細やかなのがよいなどと沙汰するのを、他の木どもが問うように、その方は何かと言えば、かの名のない木が、それがしは檜の木のように明日なろうと言って、ついに何にもならないあいだ、この木の名を明日なろうと名付けるように、よい武士を嫉んで手柄のない男は、明日なろう男と、これを名付けようと、内藤修理が言って笑い候。

解説

あすなろうの木の由来を持ち出す。他の木を品定めしておいて、自分は何かと問われると明日は檜になろうと答え、ついに何にもならない。人の手柄を論評するだけで自分は何もしない者を、その木の名で呼ぼうと内藤が言って笑う。人の手柄を論評するだけで自分は何もしない者を、その木の名で呼ぼうと内藤が言って笑う。あすなろうの木は、ついに何にもならない。

この章句が説くこと

あすなろう批評手柄内藤名付け

関連する章句

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

師導で古典を学ぶ
いま登録すると、7日間すべての機能を無料でお試しいただけます。 無料ではじめる