甲陽軍鑑 / 品第四十
此次に侍の大身ともに不覺をかき、越度をとりたるあしき人のうはさは、あたまをはられたるばかりにてはなし其不覺と申す事いくつもあるぞ、第一に惡きうそを、さかしらに申す人、第二に武士と武士が中あしきとて、座敷にても路次にても慮外の事、第三に親兄弟の敵ねらはぬ事、第四に侍衆たがひに被官共いひ事に付、云ひ過し仕る方より傍輩達をたのみ、はやく佗言はざるは無心懸の侍にて候、付たりあなた奉行ならば、則時に我者成敗なり、第五に相知行などにて我ばかり德のあるやうにいたし、傍輩を慾德の事にてたしぬく事、
新字:此次に侍の大身ともに不覚をかき、越度をとりたるあしき人のうはさは、あたまをはられたるばかりにてはなし其不覚と申す事いくつもあるぞ、第一に悪きうそを、さかしらに申す人、第二に武士と武士が中あしきとて、座敷にても路次にても慮外の事、第三に親兄弟の敵ねらはぬ事、第四に侍衆たがひに被官共いひ事に付、云ひ過し仕る方より傍輩達をたのみ、はやく佗言はざるは無心懸の侍にて候、付たりあなた奉行ならば、則時に我者成敗なり、第五に相知行などにて我ばかり徳のあるやうにいたし、傍輩を慾徳の事にてたしぬく事、
書き下し
此次に侍の大身ともに不覚をかき、越度をとりたるあしき人のうはさは、あたまをはられたるばかりにてはなし其不覚と申す事いくつもあるぞ、第一に悪きうそを、さかしらに申す人、第二に武士と武士が中あしきとて、座敷にても路次にても慮外の事、第三に親兄弟の敵ねらはぬ事、第四に侍衆たがひに被官共いひ事に付、云ひ過し仕る方より傍輩達をたのみ、はやく佗言はざるは無心懸の侍にて候、付たりあなた奉行ならば、則時に我者成敗なり、第五に相知行などにて我ばかり徳のあるやうにいたし、傍輩を慾徳の事にてたしぬく事、
現代語訳
この次に、侍の大身ともに不覚を書き、落ち度を取った悪い人の噂は、頭を張られたばかりの事ではない。その不覚と申す事はいくつもあるぞ。第一に悪い嘘を賢しらに申す人。第二に武士と武士が仲が悪いといって、座敷でも路次でも慮外の事。第三に親兄弟の敵を狙わない事。第四に侍衆が互いに被官どもの言い事について、言い過ごしをした方から傍輩たちを頼んで早く詫び言をしないのは心がけのない侍でございます。付けたり、あちらが奉行ならば、その時に我が者を成敗である。第五に相知行などで自分ばかり得のあるようにいたし、傍輩を欲得の事で出し抜く事。
解説

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