師導古典を学びたいすべての人に

甲陽軍鑑 / 品第四十

家康よのつねならず恭なく返事を被成、其桃をかくして捨て家康食ひ給ふ事なし、此儀を天野宮内右衛門かき付てあぐる、一ツかき多き中に、是はさせる儀にてなきと存候てこそ、すゑにいかにもそさうに書きたるを信玄公御覽あり、其書付を御手へ取り給ひ、しばらく目をふさぎまし〳〵て後、御眼をひらき宣ふは、

新字:家康よのつねならず恭なく返事を被成、其桃をかくして捨て家康食ひ給ふ事なし、此儀を天野宮内右衛門かき付てあぐる、一ツかき多き中に、是はさせる儀にてなきと存候てこそ、すゑにいかにもそさうに書きたるを信玄公御覧あり、其書付を御手へ取り給ひ、しばらく目をふさぎまし〳〵て後、御眼をひらき宣ふは、

書き下し

家康よのつねならず恭なく返事を被成、其桃をかくして捨て家康食ひ給ふ事なし、此儀を天野宮内右衛門かき付てあぐる、一ツかき多き中に、是はさせる儀にてなきと存候てこそ、すゑにいかにもそさうに書きたるを信玄公御覧あり、其書付を御手へ取り給ひ、しばらく目をふさぎまし〳〵て後、御眼をひらき宣ふは、

現代語訳

家康は世の常ならずかたじけなく返事をなされ、その桃を隠して捨て、家康は食べられる事がない。この儀を天野宮内右衛門が書き付けて上げる。一つ書きの多い中に、これはさしたる儀ではないと存じてこそ、末にいかにも粗相に書いたのを信玄公がご覧になり、その書付を御手へ取られ、しばらく目を塞いでおられた後、御眼を開いて宣われるには。

解説

報告した本人が、たいしたことではないと思って末尾に粗末に書いた一件である。ところが信玄はその書付を手に取り、しばらく目を閉じてから口を開く。報告する側と読む側とで、同じ事実の重みがまったく違っている。報告する側と読む側とで、同じ事実の重みがまったく違っている。末尾に粗末に書かれた一件を、信玄は手に取ってしばらく目を閉じている。

この章句が説くこと

家康報告重み信玄読み

関連する章句

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

師導で古典を学ぶ
いま登録すると、7日間すべての機能を無料でお試しいただけます。 無料ではじめる