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甲陽軍鑑 / 品第四十

一山縣三郞兵衞土屋にかたりていはく、兵にもぶせんさくなる侍は家中さだちてあしゝ、其いはれは平野久助といふ我等同心大略の者なりしが、上州みのわにて、それがしそなへを二ッにわけ、小菅五郞兵衞を將にして侍七十騎のうちに、右平野久助も入て搦手をおさへ、又一方は、ほうばう寺の一の門へおしよせ、我等下知仕る敵剛の武士共にて追手·からめ手共について出、勝負の時はたもとより加勢にまいられ、城内のやしまと鎗を合せ、手をおい引とらるゝ、

新字:一山県三郎兵衛土屋にかたりていはく、兵にもぶせんさくなる侍は家中さだちてあしゝ、其いはれは平野久助といふ我等同心大略の者なりしが、上州みのわにて、それがしそなへを二ッにわけ、小菅五郎兵衛を将にして侍七十騎のうちに、右平野久助も入て搦手をおさへ、又一方は、ほうばう寺の一の門へおしよせ、我等下知仕る敵剛の武士共にて追手·からめ手共について出、勝負の時はたもとより加勢にまいられ、城内のやしまと鎗を合せ、手をおい引とらるゝ、

書き下し

一山県三郎兵衛土屋にかたりていはく、兵にもぶせんさくなる侍は家中さだちてあしゝ、其いはれは平野久助といふ我等同心大略の者なりしが、上州みのわにて、それがしそなへを二ッにわけ、小菅五郎兵衛を将にして侍七十騎のうちに、右平野久助も入て搦手をおさへ、又一方は、ほうばう寺の一の門へおしよせ、我等下知仕る敵剛の武士共にて追手·からめ手共について出、勝負の時はたもとより加勢にまいられ、城内のやしまと鎗を合せ、手をおい引とらるゝ、

現代語訳

山県三郎兵衛が土屋に語って言うには、兵にも詮索のない侍は、家中が定まって悪い。そのいわれは、平野久助という我らの同心でおおかたの者であったが、上州箕輪で、それがしが備えを二つに分け、小菅五郎兵衛を将として侍七十騎のうちに右の平野久助も入れて搦手を押さえ、また一方は法蔵寺の一の門へ押し寄せ、我らが下知いたした敵は剛の武士どもで、追手・搦手ともについて出て、勝負の時は旗本から加勢に参られ、城内の矢島と槍を合わせ、手を負って引き取られる。

解説

詮索のない侍は家中を悪くする、という主張の実例が始まる。上州箕輪の攻めで、備えを二つに分けた話が細かく語られる。まだ問題は起きておらず、次の段で二人の手柄をめぐる嫉みが出てくる。詮索のない侍は家中を悪くする、という主張の実例が始まる。備えを二つに分けた場面が細かく語られ、次の段で二人の手柄をめぐる嫉みが出る。

この章句が説くこと

詮索家中箕輪備え搦手山県

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