甲陽軍鑑 / 品第四十
澁神をきりて木練をつぐは小身成者のことわざなり、中身よりうへの侍、殊に國持人は猶以て澁柿にて其用所達すること多し、但し德多しと申て、つぎてある木練をきるにはあらず、一切の仕置かくの分なるべきかとのたまふなり、
新字:渋神をきりて木練をつぐは小身成者のことわざなり、中身よりうへの侍、殊に国持人は猶以て渋柿にて其用所達すること多し、但し徳多しと申て、つぎてある木練をきるにはあらず、一切の仕置かくの分なるべきかとのたまふなり、
書き下し
渋神をきりて木練をつぐは小身成者のことわざなり、中身よりうへの侍、殊に国持人は猶以て渋柿にて其用所達すること多し、但し徳多しと申て、つぎてある木練をきるにはあらず、一切の仕置かくの分なるべきかとのたまふなり、
現代語訳
ある夜、信玄公が宣われるには、渋柿を切って木練を接ぐのは小身の者の業である。中身より上の侍、ことに国持ちの人はなおもって、渋柿でその用が足りることが多い。ただし徳が多いと申して、接いである木練を切るのではない。一切の仕置きはこの分であろうか、と宣われたのである。
解説
渋柿を甘柿に接ぎ替えるのは小さな身代のすることで、大きな身代では渋柿のままで用が足りる、という人の使い方のたとえ。役に立たないと見えるものにも使い道があるという話だが、すでに接いだ甘柿を切るなという但し書きが添えられ、入れ替えを勧めているのではないことが示される。すでに接いだ甘柿を切るなという但し書きが添えられ、入れ替えを勧めているのではないことが示される。渋柿のままで足りる用がある。
この章句が説くこと
渋柿人材用仕置小身国持
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