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甲陽軍鑑 / 品第四十

以上是より次に信玄公の御出語有り、或夜の事なるに信玄公御咄衆小笠原慶安齋·板坂法印·寺島甫安齋·岡田堅桃齋·長坂長閑齋·長遠寺·一花堂·新藤金額齋·小俣〓甫、其外各へ尋給ふ、工夫と思案は別か同じかと仰らるれば、もろ〳〵の中に長坂長閑一ツ事なりと申上る、信玄公御諚には別なり、古語に、工夫乾坤通幽微、思案唯心在好望所と云ふ則は、工夫と思案は少し違ふ事也、

新字:以上是より次に信玄公の御出語有り、或夜の事なるに信玄公御咄衆小笠原慶安斎·板坂法印·寺島甫安斎·岡田堅桃斎·長坂長閑斎·長遠寺·一花堂·新藤金額斎·小俣〓甫、其外各へ尋給ふ、工夫と思案は別か同じかと仰らるれば、もろ〳〵の中に長坂長閑一ツ事なりと申上る、信玄公御諚には別なり、古語に、工夫乾坤通幽微、思案唯心在好望所と云ふ則は、工夫と思案は少し違ふ事也、

書き下し

以上是より次に信玄公の御出語有り、或夜の事なるに信玄公御咄衆小笠原慶安斎·板坂法印·寺島甫安斎·岡田堅桃斎·長坂長閑斎·長遠寺·一花堂·新藤金額斎·小俣〓甫、其外各へ尋給ふ、工夫と思案は別か同じかと仰らるれば、もろ〳〵の中に長坂長閑一ツ事なりと申上る、信玄公御諚には別なり、古語に、工夫乾坤通幽微、思案唯心在好望所と云ふ則は、工夫と思案は少し違ふ事也、

現代語訳

以上、これより次に信玄公の御出語がある。ある夜のことであるが、信玄公が御咄衆の小笠原慶安斎・板坂法印・寺島甫安斎・岡田堅桃斎・長坂長閑斎・長遠寺・一花堂・新藤金額斎・小俣某、そのほかそれぞれへ尋ねられ、工夫と思案は別か同じかと仰せられたところ、もろもろの中で長坂長閑が同じ事であると申し上げた。信玄公の御諚には、別である。古語に、工夫は乾坤の幽微に通じ、思案はただ心の好む所にある、という則があるから、工夫と思案は少し違う事である、と。

解説

御咄衆を集めて言葉の違いを問う場面。工夫は天地の細かなところまで通じていく働きで、思案は自分の心の中を回るだけだという区別になる。同じだと答えた家老をその場で訂正しており、言葉を厳密に分けることがこの家では実務だったことが分かる。言葉を厳密に分けることが、この家では実務だったことが分かる。同じだと答えた家老を、その場で訂正しているところにそれが出ている。

この章句が説くこと

工夫思案古語言葉区別信玄

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