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甲陽軍鑑 / 起巻

まして小身なる人は、奉公を肝要に、まもる人の、學をよくとおぼさんには、無奉公に成て、家職をうしない、不忠節の侍になる子細は、無事の時、座敷の上の奉公が、敵に向ふ時の、忠節なり、何の道も、家職を失はん事勿体なし、其家職とは、武士の家に生るゝ人は、奉公也、奉公に二ツあり、一ツは座敷の上にての奉公、一ッには戰忠の奉公也、

新字:まして小身なる人は、奉公を肝要に、まもる人の、学をよくとおぼさんには、無奉公に成て、家職をうしない、不忠節の侍になる子細は、無事の時、座敷の上の奉公が、敵に向ふ時の、忠節なり、何の道も、家職を失はん事勿体なし、其家職とは、武士の家に生るゝ人は、奉公也、奉公に二ツあり、一ツは座敷の上にての奉公、一ッには戦忠の奉公也、

書き下し

まして小身なる人は、奉公を肝要に、まもる人の、学をよくとおぼさんには、無奉公に成て、家職をうしない、不忠節の侍になる子細は、無事の時、座敷の上の奉公が、敵に向ふ時の、忠節なり、何の道も、家職を失はん事勿体なし、其家職とは、武士の家に生るゝ人は、奉公也、奉公に二ツあり、一ツは座敷の上にての奉公、一ッには戦忠の奉公也、

現代語訳

まして小身の人は、奉公を肝要に守る人が、学問をよくしようと思われるなら、奉公をしないことになって家職を失い、不忠節の侍になる。その子細は、無事の時の座敷の上の奉公が、敵に向かう時の忠節なのである。どの道も、家職を失うことはもったいない。その家職とは、武士の家に生まれる人は奉公である。奉公に二つある。一つは座敷の上での奉公、一つには戦忠の奉公である。

解説

平時の勤めと戦時の働きを一本につないでいる。座敷の上の奉公が敵に向かう時の忠節になるという一句が要で、日常の仕事ぶりがそのまま非常時の力になるという考え方。だから小身の者が学問に時間を割けば、それは家職を失うことになる。日常の仕事ぶりが、そのまま非常時の力になるという考え方である。座敷の上の勤めを軽く見る者は、戦場でも同じところで軽く扱われる。

この章句が説くこと

家職奉公忠節座敷小身

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