甲陽軍鑑 / 品第十三
强き大將はふまへ所有るに付き、下劣の口に侵されず、生れ付きたるごとくにありて、俄かに器用も立てずしてまします、是れも强成る故ぞかし、必ず心の剛なる大將は主の意地にあてがふて、目利きし給ふにより少しも崇敬有る侍に柔弱なるはなし、縱へば十人の中に一二人よわき者あれども、それは又何ぞ取り得の有ること一二ヶ條も在之、とかくとしてむてなるはさのみなし、それ〳〵の得物を目利きし給びて召しつかはるゝは、是れ心の剛なる大將のわざなり、
新字:強き大将はふまへ所有るに付き、下劣の口に侵されず、生れ付きたるごとくにありて、俄かに器用も立てずしてまします、是れも強成る故ぞかし、必ず心の剛なる大将は主の意地にあてがふて、目利きし給ふにより少しも崇敬有る侍に柔弱なるはなし、縦へば十人の中に一二人よわき者あれども、それは又何ぞ取り得の有ること一二ヶ条も在之、とかくとしてむてなるはさのみなし、それ〳〵の得物を目利きし給びて召しつかはるゝは、是れ心の剛なる大将のわざなり、
書き下し
强き大将はふまへ所有るに付き、下劣の口に侵されず、生れ付きたるごとくにありて、俄かに器用も立てずしてまします、是れも强成る故ぞかし、必ず心の剛なる大将は主の意地にあてがふて、目利きし給ふにより少しも崇敬有る侍に柔弱なるはなし、縦へば十人の中に一二人よわき者あれども、それは又何ぞ取り得の有ること一二ヶ条も在之、とかくとしてむてなるはさのみなし、それ〳〵の得物を目利きし給びて召しつかはるゝは、是れ心の剛なる大将のわざなり、
現代語訳
強い大将は踏まえるところがあるので、下賤の口に侵されず、生まれついたままでいて、にわかに器用立てもせずにおられる。これも強いゆえである。必ず心の剛なる大将は、主人の意地に照らして目利きされるので、少しも崇敬される侍に柔弱な者はいない。たとえば十人の中に一、二人弱い者があっても、それはまた何か取り得のあることが一、二か条はある。とかくして無手なる者はそれほどいない。それぞれの得物を目利きされて召し使われるのは、これは心の剛なる大将の業である。
解説

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