孔子家語 / 曲禮子夏問
季平子卒,將以君之玙璠歛,贈以珠玉。孔子初為中都宰,聞之歷級而救焉,曰:「送而以寶玉,是猶曝屍於中原也,其示民以奸利之端,而有害於死者,安用之。且孝子不順情以危親,忠臣不兆奸以陷君。」乃止。
新字:季平子卒,将以君之玙璠歛,贈以珠玉。孔子初為中都宰,聞之歴級而救焉,曰:「送而以宝玉,是猶曝屍於中原也,其示民以奸利之端,而有害於死者,安用之。且孝子不順情以危親,忠臣不兆奸以陥君。」乃止。
書き下し
季平子卒す、将に君の玙璠を以て歛せんとし、贈るに珠玉を以てせんとす。孔子初め中都の宰為り、之を聞きて級を歴て救う、曰く、「送るに宝玉を以てせば、是れ猶お屍を中原に曝すがごときなり、其れ民に奸利の端を示して、死者に害有り、安んぞ之を用いん。且つ孝子は情に順いて以て親を危うくせず、忠臣は奸を兆して以て君を陥れず」と。乃ち止む。
現代語訳
季平子が亡くなり、君主が使うべき玙璠(美しい宝玉)を用いて遺体を納め、珠玉を副葬品として贈ろうとしていた。孔子はこの当時、中都の宰(地方長官)であったが、これを聞くと段を駆け上がって急いで駆けつけ、これを諫めた。「宝玉を用いて葬ろうとするのは、まるで遺体を野ざらしにするようなものです。それは民に不正な利益を得ようとする心の萌芽を示すことになり、かえって死者に害をもたらします。どうしてそのようなものを用いる必要がありましょうか。そもそも孝子は一時の感情に流されて親を危険にさらすことはなく、忠臣は不正の芽を生み出して主君を陥れるようなことはしないものです。」こうしてこの計画は取りやめになった。
解説
季平子の葬儀にあたり、身分に不相応な君主の宝玉を用いて遺体を飾ろうとする計画が持ち上がりましたが、孔子は急ぎ駆けつけてこれを強く諫めています。過剰に貴重な副葬品を用いることは、盗掘などの不正な利益を狙う心を人々に呼び起こしかねず、結果としてかえって死者の遺体を危険にさらすことになるという、実際的な懸念が示されています。また、一時の感傷から親を危険にさらすことは真の孝ではなく、不正の種をまくことは真の忠ではないという指摘は、感情に流されない冷静な判断こそが真の孝や忠の実践であるという教えを示しています。
この章句が説くこと
季平子玙璠孝子と忠臣副葬品の弊害