孔子家語 / 曲禮子夏問
子夏問於孔子曰:「居父母之仇如之何?」孔子曰:「寢苫枕幹,不仕弗與共天下也。遇於朝市,不返兵而鬥。」曰:「請問居昆弟之仇如之何?」孔子曰:「仕,弗與同國,銜君命而使,雖遇之不鬥。」曰:「請問從昆弟之仇如之何?」曰:「不為魁,主人能報之,則執兵而陪其後。」
新字:子夏問於孔子曰:「居父母之仇如之何?」孔子曰:「寝苫枕幹,不仕弗与共天下也。遇於朝市,不返兵而鬥。」曰:「請問居昆弟之仇如之何?」孔子曰:「仕,弗与同国,銜君命而使,雖遇之不鬥。」曰:「請問従昆弟之仇如之何?」曰:「不為魁,主人能報之,則執兵而陪其後。」
書き下し
子夏、孔子に問いて曰く、「父母の仇に居るは之を如何にせん」と。孔子曰く、「苫に寝ね幹を枕とし、仕えず、与に天下を共にせざるなり。朝市に遇わば、兵を返さずして闘う」と。曰く、「請う問う、昆弟の仇に居るは之を如何にせん」と。孔子曰く、「仕うるも、与に国を同じくせず、君命を銜みて使いすれば、之に遇うと雖も闘わず」と。曰く、「請う問う、従昆弟の仇に居るは之を如何にせん」と。曰く、「魁と為らず、主人能く之に報ゆれば、則ち兵を執りて其の後に陪す」と。
現代語訳
子夏が孔子に尋ねた。「父母の仇に対してはどうすべきでしょうか。」孔子は答えた。「藁筵に寝て盾を枕とし、仕官もせず、その仇とは天下をともにしない覚悟を持つ。朝廷や市場で出会ったなら、武器を取りに戻ることなく、その場で戦うべきだ。」子夏はさらに尋ねた。「では兄弟の仇に対してはどうすべきでしょうか。」孔子は答えた。「仕官してもよいが、仇と同じ国には仕えない。ただし君命を帯びて使者として赴いた場合には、たとえその仇に出くわしても戦わない。」子夏はさらに尋ねた。「では従兄弟の仇に対してはどうすべきでしょうか。」孔子は答えた。「自分が先頭に立って復讐することはしない。ただし仇の当人の身内が復讐しようとするなら、武器を取ってその後ろに付き従い、助勢する。」
解説
父母・兄弟・従兄弟という血縁の親疎に応じて、復讐に対する態度に段階的な差が設けられていることが示されています。最も近い父母の仇に対しては不倶戴天の覚悟で徹底的に対峙し、兄弟の仇に対しては同じ国に仕えないという距離を置きつつ公務は優先し、さらに遠い従兄弟の仇に対しては自ら先頭に立たず助勢するにとどめるという、血縁の濃淡に応じた復讐倫理の体系が読み取れます。私的な報復感情と公的な秩序との調整が図られており、古代中国における復讐観と礼の関係を知るうえで重要な逸話です。
この章句が説くこと
復讐父母の仇兄弟の仇不倶戴天