孔子家語 / 困誓
他日,靈公又與夫子語,見飛鴈過而仰視之,色不悅。孔子乃逝。
新字:他日,霊公又与夫子語,見飛鴈過而仰視之,色不悅。孔子乃逝。
書き下し
他日、霊公又夫子と語る、飛鴈の過ぐるを見て之を仰視し、色悦ばず。孔子乃ち逝く。
現代語訳
後日、衛の霊公はまた先生と語り合っていたが、飛んで行く雁を見かけると、それを仰ぎ見て見入り、顔色は浮かないものになった。孔子はそこで衛の国を去った。
解説
衛の霊公と語り合っていた孔子が、霊公の関心が話の途中で空を飛ぶ雁に逸れ、うわの空になった様子を見て、すぐさま国を去る決断をした短い逸話です。何も語られていないほんの一瞬の態度、自分の話よりも別のことに気を取られたという些細な仕草だけで、孔子は霊公がもはや自分の説く道を真剣に用いる意志を持たないと見抜きました。多くを語らず即座に見切りをつけるという行動は、君主に何度も説得を試みる場面が多いこの巻の中でも際立って対照的です。言葉ではなく、ふとした態度や視線にこそ相手の本心が表れるという観察眼と、それを見て取ったらすぐに身を引くという決断の速さは、人間関係や交渉の場面における機微を読む力の重要性を静かに物語っています。
この章句が説くこと
衛霊公飛鴈去衛態度の機微決断