孔子家語 / 好生
魯人有獨處室者,鄰之嫠婦,亦獨處一室。夜暴風雨至,嫠婦室壞,趨而托焉,魯人閉戶而不納,嫠婦自牖與之言:「何不仁而不納我乎?」魯人曰:「吾聞男女不六十不同居,今子幼吾亦幼,是以不敢納爾也。」婦人曰:「子何不如柳下惠?然嫗不建門之女,國人不稱其亂。」魯人曰:「柳下惠則可,吾固不可。吾將以吾之不可,學柳下惠之可。」孔子聞之曰:「善哉!欲學柳下惠者,未有似於此者,期於至善而不襲其為,可謂智乎!」
新字:魯人有独処室者,鄰之嫠婦,亦独処一室。夜暴風雨至,嫠婦室壊,趨而托焉,魯人閉戶而不納,嫠婦自牖与之言:「何不仁而不納我乎?」魯人曰:「吾聞男女不六十不同居,今子幼吾亦幼,是以不敢納爾也。」婦人曰:「子何不如柳下恵?然嫗不建門之女,国人不称其乱。」魯人曰:「柳下恵則可,吾固不可。吾将以吾之不可,学柳下恵之可。」孔子聞之曰:「善哉!欲学柳下恵者,未有似於此者,期於至善而不襲其為,可謂智乎!」
書き下し
魯人に独り室に処る者有り、鄰の嫠婦も、亦独り一室に処る。夜暴風雨至り、嫠婦の室壊れ、趨りて托す、魯人戸を閉じて納れず、嫠婦牖より之に言いて曰わく、「何ぞ不仁にして我を納れざるや。」魯人曰わく、「吾聞く、男女六十ならざれば同居せずと、今子も幼く吾も亦幼し、是を以て敢えて爾を納れざるなり。」婦人曰わく、「子何ぞ柳下惠の如くならざる。然も嫗門を建てざるの女、国人其の乱れを称せず。」魯人曰わく、「柳下惠は則ち可なり、吾は固より可ならず。吾将に吾の不可を以て、柳下惠の可を学ばんとす。」孔子之を聞きて曰わく、「善いかな、柳下惠を学ばんと欲する者、未だ此に似たる者有らざるなり、至善を期して其の為すを襲わず、智と謂う可きかな。」
現代語訳
魯の国に、独り家に住む男がいた。隣にも、独り身の未亡人が一人で住んでいた。ある夜、激しい嵐が来て、未亡人の家が壊れてしまい、彼女は走って男の家に身を寄せようとした。男は戸を閉めて中に入れなかった。未亡人は窓越しに言った。「どうしてそんなに情がなく、私を中に入れてくれないのですか。」男は言った。「私はこう聞いています。男女は六十歳にならなければ同居してはいけないと。今、あなたも若く、私もまだ若い。だから、あえてあなたを中に入れないのです。」未亡人は言った。「あなたはどうして柳下惠のようにできないのですか。彼は凍えた女性を懐に抱いて温めても、国の人々はそれをふしだらだとは言いませんでした。」男は言った。「柳下惠だからこそそれができたのです。私にはもとよりそれはできません。私は、自分にはできないということを守りながら、柳下惠のできることの精神を学ぼうとしているのです。」孔子はこれを聞いて言った。「立派なことだ。柳下惠に学ぼうとする者で、これほど見事な者はまだいない。最高の徳そのものを目標としながら、その具体的なやり方をそのまま真似ることはしなかった。これは智と言えるだろう。」