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後世への最大遺物 / 第二回・真面目なる生涯を送った人

われわれに後世に遺すものは何もなくとも、われわれに後世の人にこれぞというて覚えられるべきものはなにもなくとも、アノ人はこの世の中に活きているあいだは真面目なる生涯を送った人であるといわれるだけのことを後世の人に遺したいと思います。(拍手喝采)

書き下し

われわれに後世に遺すものは何もなくとも、われわれに後世の人にこれぞというて覚えられるべきものはなにもなくとも、あの人はこの世の中に活きているあいだは真面目なる生涯を送った人である、といわれるだけのことを後世の人に遺したいと思います。

現代語訳

私たちに後世へ遺すものが何もなくても、後世の人にこれと言って覚えてもらえるものが何もなくても、あの人はこの世に生きている間は真面目な生涯を送った人だ、と言われるだけのことを後世の人に遺したいと思います。

解説

講演の最後の一文です。遺すものが何もなくてよい、覚えられるものが何もなくてよい、と二重に手放したうえで、真面目な生涯を送った人だと言われたい、とだけ言う。冒頭で千年の歴史に名を連ねたいと語った同じ人が、名も業績も要らないところまで降りてきました。金、事業、思想、生涯と四つの遺物を順にたどって、最後に残るのがこれです。誰にでも遺せて、誰にも奪えない。この一行のために、二晩の講演が費やされました。

この章句が説くこと

生涯真面目遺物無名結び

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