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後世への最大遺物 / 第二回・家康は人数の少い方を助けた

徳川家康のエライところはたくさんありますけれども、諸君のご承知のとおり彼が子供のときに川原へ行ってみたところが、子供の二群が戦をしておった、石撃をしておった。家康はこれを見て彼の家来に命じて人数の少い方を手伝ってやれといった。多い方はよろしいから少い方へ行って助けてやれといった。これが徳川家康のエライところであります。それでいつでも正義のために立つ者は少数である。それでわれわれのなすべきことはいつでも少数の正義の方に立って、そうしてその正義のために多勢の不義の徒に向って石撃をやらなければなりません。もちろんかならずしも負ける方を助けるというのではない。私の望むのは少数とともに戦うの意地です。その精神です。

書き下し

徳川家康のえらいところはたくさんありますけれども、諸君のご承知のとおり、彼が子供のときに川原へ行ってみたところが、子供の二群が戦をしておった、石撃をしておった。家康はこれを見て、彼の家来に命じて人数の少い方を手伝ってやれといった。多い方はよろしいから、少い方へ行って助けてやれといった。これが徳川家康のえらいところであります。それでいつでも正義のために立つ者は少数である。それでわれわれのなすべきことは、いつでも少数の正義の方に立って、そうしてその正義のために、多勢の不義の徒に向って石撃をやらなければなりません。もちろん、かならずしも負ける方を助けるというのではない。私の望むのは少数とともに戦うの意地です。その精神です。

現代語訳

徳川家康の偉いところはたくさんありますが、ご存じのとおり、彼が子供のころ川原へ行ってみると、子供の二群が戦をしていた、石合戦をしていた。家康はこれを見て、家来に命じて人数の少ない方を手伝ってやれと言った。多い方はよいから、少ない方へ行って助けてやれ、と。これが徳川家康の偉いところです。いつの時代も、正義のために立つ者は少数です。ですから私たちがなすべきことは、いつも少数の正義の側に立ち、その正義のために、多勢の不義の徒に向かって石を投げなければなりません。もちろん、必ずしも負ける方を助けるということではない。私が望むのは、少数とともに戦う意地です。その精神です。

解説

家康の少年期の逸話が引かれます。石合戦で人数の少ない側に加勢させたという話で、松平元康の逸話として伝わるものです。内村はここで慎重な区別を置きます。負ける方を助けるのではない、少数の正義の側に立つのだ、と。判官贔屓と正義の擁護は別だという線引きで、感情で弱い側につくことを戒めています。多数決では守れないものがあるという認識が、この講演の終盤の実践的な芯になっています。

この章句が説くこと

少数正義意地判断加勢

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