後世への最大遺物 / 第二回・他の人の嫌がることをなせ
他の人の行くことを嫌うところへ行け。他の人の嫌がることをなせこれがマウント・ホリヨーク・セミナリーの立った土台石であります。これが世界を感化した力ではないかと思います。他の人の嫌がることをなし、他の人の嫌がるところへ行くという精神であります。それでわれわれの生涯はその方に向って行きつつあるか。われわれの多くはそうでなくして、他の人もなすから己もなそうというのではないか。他の人もアアいうことをするから私もソウしようというふうではないか。ほかの人もアメリカへ金もらいに行くから私も行こう、他の人も壮士になるから私も壮士になろう、はなはだしきはだいぶこのごろは耶蘇教が世間の評判がよくなったから私も耶蘇教になろう、というようなものがございます。
書き下し
他の人の行くことを嫌うところへ行け。他の人の嫌がることをなせ。これがマウント・ホリヨーク・セミナリーの立った土台石であります。これが世界を感化した力ではないかと思います。他の人の嫌がることをなし、他の人の嫌がるところへ行くという精神であります。それで、われわれの生涯はその方に向って行きつつあるか。われわれの多くはそうでなくして、他の人もなすから己もなそうというのではないか。他の人もああいうことをするから私もそうしようというふうではないか。ほかの人もアメリカへ金もらいに行くから私も行こう、他の人も壮士になるから私も壮士になろう、はなはだしきは、だいぶこのごろは耶蘇教が世間の評判がよくなったから私も耶蘇教になろう、というようなものがございます。
現代語訳
他の人が行くのを嫌がるところへ行け。他の人が嫌がることをなせ。これがマウント・ホリヨーク・セミナリーの立った土台石です。これが世界を感化した力ではないかと思います。他の人が嫌がることをなし、他の人が嫌がるところへ行くという精神です。さて、私たちの生涯はその方へ向かって進んでいるでしょうか。私たちの多くはそうではなく、他の人もするから自分もしよう、というのではないか。他の人もああするから自分もそうしよう、というふうではないか。他の人もアメリカへ金をもらいに行くから自分も行こう、他の人も壮士になるから自分も壮士になろう、ひどいのになると、近ごろはキリスト教の世間の評判がよくなったから自分もキリスト教徒になろう、というものまであります。
解説
この章句が説くこと
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うひ山ぶみ・第八段然はあれども、まづかの学のしなじなは、他よりしひて、それをとはいひがたし、大抵みづから思ひよれる方にまかすべき也、
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孟子・離婁章句下孟子曰く、「以て取る可く、以て取る無かる可し。取れば廉を傷つく。以て與う可く、以て與うる無かる可し。與うれば惠を傷つく。以て死す可く、以て死する無かる可し。死すれば勇を傷つく。」
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孫子・行軍篇之を令するに文を以てし、之を斉うるに武を以てす。是を必取と謂う。
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徒然草・第78段今様の事どもの珍しきを、いひ広めもてなすこそ、又うけられね。世に事ふりたるまで知らぬ人は心にくし。今更の人などのある時、こゝもとに言ひつけたる言種、物の名など心得たるどち、片端言ひかはし、目見合はせ笑ひなどして、心しらぬ人に心得ず思はすること、世なれずよからぬ人の必ずあることなり。