後世への最大遺物 / 第二回・原稿を友人に貸した
それからしてその本が原稿になってこれを罫紙に書いてしまった。それからしてこれはモウじきに出版するときがくるだろうと思って待っておった。そのときに友人が来ましてカーライルに遇ったところが、カーライルがその話をしたら「実に結構な書物だ、今晩一読を許してもらいたい」といった。そのときにカーライルは自分の書いたものはつまらないものだと思って人の批評を仰ぎたいと思ったから、貸してやった。貸してやるとその友人はこれを家へ持っていった。そうすると友人の友人がやってきて、これを手に取って読んでみて、「これは面白い本だ、一つドウゾ今晩私に読ましてくれ」といった。ソコで友人がいうには「明日の朝早く持ってこい、そうすれば貸してやる」といって貸してやったら、その人はまたこれをその家へ持っていって一所懸命に読んで、暁方まで読んだところが、あしたの事業に妨げがあるというので、その本をば机の上に抛り放しにして床について自分は寝入ってしまった。
書き下し
それからしてその本が原稿になって、これを罫紙に書いてしまった。それからして、これはもうじきに出版するときがくるだろうと思って待っておった。そのときに友人が来まして、カーライルに遇ったところが、カーライルがその話をしたら「実に結構な書物だ、今晩一読を許してもらいたい」といった。そのときにカーライルは、自分の書いたものはつまらないものだと思って人の批評を仰ぎたいと思ったから、貸してやった。貸してやると、その友人はこれを家へ持っていった。そうすると友人の友人がやってきて、これを手に取って読んでみて、「これは面白い本だ、一つどうぞ今晩私に読ましてくれ」といった。そこで友人がいうには「明日の朝早く持ってこい、そうすれば貸してやる」といって貸してやったら、その人はまたこれをその家へ持っていって一所懸命に読んで、暁方まで読んだところが、あしたの事業に妨げがあるというので、その本をば机の上に抛り放しにして、床について自分は寝入ってしまった。
現代語訳
そしてその本が原稿になり、これを罫紙に書き上げた。もうじき出版のときが来るだろうと思って待っていました。そのとき友人が来てカーライルに会い、カーライルがその話をすると、実に結構な書物だ、今晩一読させてくれ、と言った。そのときカーライルは、自分の書いたものはつまらないものだと思って人の批評を仰ぎたかったので、貸してやりました。貸してやると、その友人はこれを家へ持っていった。すると友人の友人がやってきて、手に取って読んでみて、これは面白い本だ、どうか今晩私に読ませてくれ、と言った。そこで友人は、明日の朝早く持ってこい、そうすれば貸してやる、と言って貸してやった。その人はまたこれを自分の家へ持っていって一心に読み、明け方まで読んだところ、翌日の仕事に差し支えるというので、その原稿を机の上に放り出したまま、床について寝入ってしまいました。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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論語・学而篇子曰く、「学びて時に之を習う、亦説ばしからずや。朋遠方より来たる有り、亦楽しからずや。人知らずして慍みず、亦君子ならずや。」
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論語・学而篇子曰く、「君子重からざれば則ち威あらず、学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ、過てば則ち改むるに憚ること勿かれ。」
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『宋名臣言行録』後集巻十三・鄒浩田晝なる者は、字は承君、陽翟の人、故の樞密宣簡公の姪なり。人物雄偉、議論慷慨、俱に前輩の風有り。鄒浩志完、頴昌に教授たり。承君と遊びて相い樂しむなり。志完性懦なり。承君を得たるに因るが故に、事に遇えば輒ち自ら激厲す。
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『宋名臣言行録』後集巻十四・陳襄公既に孤にして且つ多病なり。常に先君侍郎の言を以て念と爲す。間に居りて益ミ自ら策勵す。上は繼母に事うるに孝を以てし、下は弟妹を教うるに義方を以てす。士の賢なる者を求めて親しみて之を友とす。其の鄉士陳烈・周希孟・鄭穆を得て之が友と爲す。四人なる者は氣古く行い高く、磨礲鐫切して、相い期するに天下の重きを以て己が任と爲す。
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『宋名臣言行録』後集巻十三・鄒浩留まること三日。別れに臨みて志完涕を出だす。承君正しく責めて曰く、志完をして隱黙して京師に官たらしめば、寒疾に遇いて汗せずんば、五日にして死せん。豈に獨り嶺海の外のみ能く人を死せしめんや。願わくは君此の舉を以て自ら滿つること無かれ。士の當に爲すべき所の者は、未だ此に止まらざるなり、と。志完茫然自失し、歎息して曰く、君の我に贈るは厚し、と。乃ち別れ去る。
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『宋名臣言行録』後集巻十三・鄒浩既にして朋黨の禍大いに起こる。時事日に變更す。承君病と謝して陽翟の田舍に歸る。一日、劉氏を立てて皇后と爲すと報ず。承君人に謂いて曰く、志完言わずんば、以て交わりを絶つ可し、と。