後世への最大遺物 / 第二回・文学は独立の隠れ場所
それゆえに多くの独立を望む人が政治界を去って宗教界に入り、宗教界を去って教育界に入り、また教育界を去ってついに文学界に入ったことは明かな事実であります。多くのエライ人は文学に逃げ込みました。文学は独立の思想を維持する人のために、もっとも便益なる隠れ場所であろうと思います。しかしながらただ今も申し上げましたとおり、かならずしも誰にでも入ることのできる道ではない。
書き下し
それゆえに、多くの独立を望む人が政治界を去って宗教界に入り、宗教界を去って教育界に入り、また教育界を去ってついに文学界に入ったことは明かな事実であります。多くのえらい人は文学に逃げ込みました。文学は独立の思想を維持する人のために、もっとも便益なる隠れ場所であろうと思います。しかしながら、ただ今も申し上げましたとおり、かならずしも誰にでも入ることのできる道ではない。
現代語訳
ですから、独立を求める多くの人が政治の世界を去って宗教の世界に入り、宗教の世界を去って教育の世界に入り、教育の世界を去ってついに文学の世界に入ったことは明らかな事実です。多くの偉い人が文学に逃げ込みました。文学は、独立した思想を保とうとする人にとって、もっとも便利な隠れ場所だろうと思います。しかし今も申し上げたとおり、必ずしも誰でも入れる道ではありません。
解説
独立を求める人の移動経路が、政治から宗教、宗教から教育、教育から文学へ、と一本の線で描かれます。組織の縛りが緩いほうへ順に移っていく道筋です。そして文学を隠れ場所と呼ぶ。逃げ込んだという言い方を隠さないところが率直で、著述を英雄的な選択として飾っていません。それでも誰でも入れる道ではないと繰り返し、行き詰まりを確認したまま、次の段の問いへ入っていきます。
この章句が説くこと
独立文学逃避組織思想
関連する章句
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『学問のすゝめ』四編・学者の職分を論ず・これを散ずれば明なりこれを集むれば暗なり私にありては智なり、官にありては愚なり。これを散ずれば明なり、これを集むれば暗なり。政府は衆智者の集まるところにして、一愚人の事を行なうものと言うべし。あに怪しまざるを得んや。畢竟その然る所以は、かの気風なるものに制せられて、人々みずから一個の働きを逞しゅうすること能わざるによりて致すところならんか。維新以来、政府にて学術、法律、商売等の道を興さんとして効験なきも、その病の原因はけだしここにあるなり。しかるにいま一時の術を用いて下民を御し、その知徳の進むを待つとは、威をもって人を文明に強ゆるものか、しからざれば欺きて善に帰せしむるの策なるべし。政府威を用うれば人民は偽をもってこれに応ぜん、政府欺を用うれば人民は容を作りてこれに従わんのみ。これを上策と言うべからず。たといその策は巧みなるも、文明の事実に施して益なかるべし。ゆえにいわく、世の文明を進むるには、ただ政府の力のみに依頼すべからざるなり。
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司馬法・定爵将は身なり、卒は支(し)なり、伍は指拇(しぼ)なり。
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言志四録・南洲手抄三軍和せずば、以て戦を言ひ難し。百官和せずば、以て治を言ひ難し。書に云ふ、寅を同じうし恭を協せ和衷せよやと。唯だ一の和字、治乱を一串す。
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『学問のすゝめ』四編・学者の職分を論ず・一身両頭あるがごとし試みにその一を挙げて言わん。今、在官の人物少なしとせず、私にその言を聞きその行を見れば、おおむねみな闊達大度の士君子にて、わが輩これを間然する能わざるのみならず、その言行あるいは慕うべきものあり。また一方より言えば平民といえども悉皆無気無力の愚民のみにあらず、万に一人は公明誠実の良民もあるべし。しかるに今この士君子、政府に会して政をなすに当たり、その為政の事跡を見ればわが輩の悦ばざるものはなはだ多く、またかの誠実なる良民も、政府に接すればたちまちその節を屈し、偽詐術策、もって官を欺き、かつて恥ずるものなし。この士君子にしてこの政を施し、この民にしてこの賤劣に陥るはなんぞや。あたかも一身両頭あるがごとし。
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李衛公問対・卷上兵卒に制有れば、庸将と雖も未だ敗れず。若し兵卒自ら乱るれば、賢将と雖も之を危うくす、又た何ぞ疑わんや。
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言志四録・南洲手抄信上下に孚す、天下甚だ処し難き事無し。