後世への最大遺物 / 第二回・深いところにはことごとく音楽がある
われわれの心に鬱勃たる思想が籠もっておって、われわれが心のままをジョン・バンヤンがやったように綴ることができるならば、それが第一等の立派な文学であります。カーライルのいったとおり「何でもよいから深いところへ入れ、深いところにはことごとく音楽がある」。実にあなたがたの心情をありのままに書いてごらんなさい、それが流暢なる立派な文学であります。私自身の経験によっても私は文天祥がドウ書いたか、白楽天がドウ書いたかと思っていろいろ調べてしかる後に書いた文よりも、自分が心のありのままに、仮名の間違いがあろうが、文法に合うまいが、かまわないで書いた文の方が私が見ても一番良い文章であって、外の人が評してもまた一番良い文章であるといいます。
書き下し
われわれの心に鬱勃たる思想が籠もっておって、われわれが心のままを、ジョン・バンヤンがやったように綴ることができるならば、それが第一等の立派な文学であります。カーライルのいったとおり「何でもよいから深いところへ入れ、深いところにはことごとく音楽がある」。実に、あなたがたの心情をありのままに書いてごらんなさい、それが流暢なる立派な文学であります。私自身の経験によっても、私は文天祥がどう書いたか、白楽天がどう書いたかと思っていろいろ調べて、しかる後に書いた文よりも、自分が心のありのままに、仮名の間違いがあろうが、文法に合うまいが、かまわないで書いた文の方が、私が見ても一番良い文章であって、外の人が評してもまた一番良い文章であるといいます。
現代語訳
私たちの心に湧き上がる思想がこもっていて、それを心のまま、ジョン・バンヤンがやったように綴ることができるなら、それが第一等の立派な文学です。カーライルが言ったとおり、何でもよいから深いところへ入れ、深いところにはことごとく音楽がある。まさに、皆さんの心情をありのままに書いてごらんなさい。それが流れるような立派な文学です。私自身の経験からも、文天祥はどう書いたか、白楽天はどう書いたかとあれこれ調べてから書いた文章より、自分の心のままに、仮名が間違っていようが文法に合うまいが構わずに書いた文章のほうが、自分で見ても一番よく、他の人の評でも一番よいと言われます。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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老子・第4章道は沖にして、之を用うるも或いは盈たず。淵たり、万物の宗に似たり。其の鋭を挫き、其の紛を解き、其の光を和らげ、其の塵に同じくす。湛たり、或いは存するに似たり。吾れ誰の子なるかを知らず、帝の先に象たり。
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論語・子張篇叔孫武叔、大夫に朝に語りて曰く、「子貢は仲尼より賢れり。」子服景伯、以て子貢に告ぐ。子貢曰く、「諸を宮牆に譬うれば、賜の牆や肩に及び、室家の好きを闚い見る。夫子の牆は数仞、其の門を得て入らざれば、宗廟の美・百官の富を見ず。其の門を得る者或いは寡なし。夫子の云えるも、亦た宜ならずや。」
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『学問のすゝめ』十六編・手近く独立を守ること・独立の義に縁なきように思わるることにも品物につきての独立とは、世間の人が銘々に身代を持ち、銘々に家業を勤めて、他人の世話厄介にならぬよう、一身一家内の始末をすることにて、一口に申せば人に物を貰わぬという義なり。有形の独立は右のごとく目にも見えて弁じやすけれども、無形の精神の独立に至りては、その意味深く、その関係広くして、独立の義に縁なきように思わるることにもこの趣意を存して、これを誤るものはなはだ多し。細事ながら左にその一ヵ条を撮りてこれを述べん。
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論語・為政篇子曰く、「故きを温めて新しきを知らば、以て師と為るべし。」
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