後世への最大遺物 / 第二回・下女の手紙が本当の文学
私は感謝していつでも六厘差し出します(大笑)。それから七夕様がきますといつでも私のために七夕様に団子だの梨だの柿などを供えます。私はいつもそれを喜んで供えさせます。その女が書いてくれる手紙を私は実に多くの立派な学者先生の文学を『六合雑誌』などに拝見するよりも喜んで見まする。それが本当の文学で、それが私の心情に訴える文学。……文学とは何でもない、われわれの心情に訴えるものであります。文学というものはソウいうものであるならば……ソウいうものでなくてはならぬ……それならばわれわれはなろうと思えば文学者になることができます。われわれの文学者になれないのは筆が執れないからなれないのではない、われわれに漢文が書けないから文学者になれないのでもない。
書き下し
私は感謝していつでも六厘差し出します。それから七夕様がきますと、いつでも私のために七夕様に団子だの梨だの柿などを供えます。私はいつもそれを喜んで供えさせます。その女が書いてくれる手紙を、私は実に多くの立派な学者先生の文学を『六合雑誌』などに拝見するよりも、喜んで見まする。それが本当の文学で、それが私の心情に訴える文学。……文学とは何でもない、われわれの心情に訴えるものであります。文学というものはそういうものであるならば……そういうものでなくてはならぬ……それならば、われわれはなろうと思えば文学者になることができます。われわれの文学者になれないのは、筆が執れないからなれないのではない、われわれに漢文が書けないから文学者になれないのでもない。
現代語訳
私は感謝していつも六厘差し出します。それから七夕が来ると、いつも私のために七夕に団子や梨や柿などを供えます。私はいつも喜んで供えさせます。その人が書いてくれる手紙を、私は多くの立派な学者先生の文章を『六合雑誌』などで拝見するよりも、喜んで読みます。それが本当の文学で、それが私の心に訴える文学です。文学とは何ということはない、私たちの心に訴えるものです。文学がそういうものであるなら、そうでなくてはならないのですが、それなら私たちはなろうと思えば文学者になれます。私たちが文学者になれないのは、筆が執れないからではない、漢文が書けないからでもない。
解説

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本の中身を見るこの章句が説くこと
関連する章句
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『墨子』耕柱子墨子曰く、「和氏の璧、隋侯の珠、三棘六異、此れ諸侯の所謂る良寳なり。以て國家を富まし、人民を衆くし、刑政を治め、社稷を安んず可きか。曰く、不可なり。所謂る良寶を貴ぶ者は、其の以て利す可きが為なり。而して和氏の璧、隋侯の珠、三棘六異は、以て人を利す可からず。是れ天下の良寶に非ざるなり。今、義を用いて政を國家に為さば、人民必ず衆く、刑政必ず治まり、社稷必ず安からん。良寶を貴ぶ所以の者は、以て民を利す可ければなり。而して義は以て人を利す可し。故に曰く、義は天下の良寶なり」と。
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『呻吟語』外篇・治道・斗珠は升糠に如かず余息して溝壑に在らば、斗珠も升糠に如かず。祼裎して冰雪に臥さば、敗絮も繡縠より重し。舉世の人を用ふるは、皆な珠縠の貴きなり。甚だ高品有り、甚だ清流有らんや。緩急の用に適せずんば、即ち真に急とする所に非ざるなり。
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『呻吟語』内篇・應務・所直幾何ぞと曰ふは亂語のみ一介にして必ず吝しむ者有り、千金にして輕んず可き者有り。而るに世の取與を論ずるは動もすれば、直る所幾何ぞと曰ふ。此れ亂語のみ。
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『呻吟語』外篇・世運・世の人與に言ひ難し世人は老を賤しむも、聖王は之を尊ぶ。世人は愚を棄つるも、君子は之を取る。世人は貧を恥づるも、高士は之を清しとす。世人は淡を厭ふも、智者は之を味はふ。世人は冷を惡むも、幽人は之を寶とす。世人は素を薄しとするも、有道者は之を尚ぶ。悲しいかな、世の人は與に言ひ難し。
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『呻吟語』外篇・廣喻・惟だ光明なる者のみ人をして疑はしめず瓦礫の道に在るは、過ぐる者皆な弗ち見ざるなり。之を裹むに紙を以てすれば、人必ず之を拾はん。十たび襲ねて之を櫝せば、人必ず之を盜まん。故に之を藏さば、人は之を亡はんことを思ひ、之を掩へば、人は之を檢せんことを思ひ、之を圍めば、人は之を窺はんことを思ひ、之を障へば、人は之を望まんことを思ふ。惟だ光明なる者のみ人をして疑はしめず。故に君子は其の身を光天化日の下に置く。丑好は我に在り、我飾る無し。愛憎は人に在り、我與る無し。
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『墨子』貴義子墨子曰く、萬事、義より貴きは莫し。今、人に謂いて曰く、「子に冠履を予えて、子の手足を斷たん。子、之を為さんか」と。必ず為さざらん。何の故ぞ。則ち冠履は手足の貴きに若かざればなり。又た曰く、「子に天下を予えて、子の身を殺さん。子、之を為さんか」と。必ず為さざらん。何の故ぞ。則ち天下は身の貴きに若かざればなり。一言を爭いて以て相い殺すは、是れ義を其の身よりも貴べばなり。故に曰く、萬事、義より貴きは莫きなり。